乱入する者#3

ザァァァァァァァ!!


レオーとタウラティカの間を青いレーザーが切り裂いたことで、タウラティカは攻撃を中断する。


2人の聖霊獣アバターは勿論、2人のプレイヤーも突然の現れた者に対して驚いていた。


漆黒のオーラに包まれた禍々しい異形の者に。


「何だアイツは!?」


聖霊獣アバターか!?」


2人が驚いていると、現れたソイツはタウラティカに対して、杖のようなもので電光石火の如く攻撃を仕掛け、タウラティカは右肩と左足を突き刺され負傷する。


刺された箇所から電流が発生すると同時に、溢れるように血が流れ出てくる。


それはHPを共有している郷田も同じで、同じ箇所から血が溢れていた。






「――ッ!!(たかが普通の攻撃で、5000もあったHPが3000にまで減るのか)」


タウラティカに攻撃した直後、標的をレオーに変え、黒い鱗粉のような粉を撒き散らしながら、一気に間合いに侵入する。


「――グフッ!!?」


気づいたときには既に遅く、防御の構えを取ろうと行動した刹那、露出しているお腹に回し蹴りを食らわされ、建物の壁に激突する。


その衝撃はラミィにも伝わり、激痛が体を支配していた。


「ガァァ……ギィ――ゲホッ!ゲホッ!!」


「――ッ!!(こんなに痛ぇのか!!)」


レオーを吹き飛ばし、再度タウラティカも回し蹴りで吹き飛ばした謎の乱入者は、郷田がいる場所とラミィがいる場所を交互に見る。


その行動の真意をいち早く理解したレオーはだったが、何故か立ちあげることが出来ないでいた。


それはラミィも同様で、ディスクを見てみるとステータス表記欄に赤い文字で『Paralysis』と記載されていた。


「……!?(Paralysis……麻痺状態か!?)」


乱入者は2人を交互に見た後、麻痺で動けないラミィを自身の餌にすることにし、たった1度のダッシュですぐ側まで接近する。


「――ッ!!(ヤベェ!死ぬ!!)」


マスター!!」


地面に這いつくばるレオーの声も空しく、乱入者は杖を振り上げ、勢いよく振り下ろした……





だが――


杖の先端が頭部を貫こうとした直後、何故か乱入者は動きを止める。


体に緊張が走る中、目の前の異形の者と目が合う。


「――ッ!!?」


まるで全てを飲み込むようにドス黒い赤い瞳に、心臓が飲み込まれそうになる。


すると目の前のソイツは、まるで周囲に同化するかのように消えていった。


助かった、その事実に気づいたのは10秒が経過した後で、安堵したラミィは震える肺で息を吐き出す。


あのまま攻撃されれば、耐性や防御力等は共有されず、HPだけが共有されている自分は、確実に一撃で葬られていたであろう。


マスター、怪我は?」


「大丈夫」


麻痺状態が解けたレオーはすぐさまラミィの元まで駆けつける。


いったい奴は何者だったのか?攻撃を仕掛けられた場合、仕掛けた側のプレイヤー情報が記載される筈だが、一切の情報は無く、ただ唯一画面に大きく赤い文字で――


【Desperado】


とだけあった。


「……(Desperado……いったい何者何だ?)」






「どうでしたか?最新型は?」


ラミィを見下ろす形で、タブレットに記載されているレオーの数値的データを見ながら、先の乱入者に問いかけるニムト。


だが乱入者はまるで興味が無いように振る舞うと、その場から立ち去っていった。


そんな乱入者を不適な笑みで見つめた後、下にいるラミィとレオーを見る。


「まだまだゲームは始まったばかりですよ」

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