ピスケスとジェミニのプレイヤー#2

「イテェって言うのに……コイツだけはやめられねぇ……な?」


傷口からポンプのように血が溢れるというのに、タバコに火をつけて煙を吐く鬼龍。


もうまともに動くことが出来ないぐらいだと言うのに、タバコとなると不思議と力が入ってくる。


しかし室内で吸っているせいで、隣にいるタウラティカは不機嫌になっており、彼の脇腹を過ごし強めに小突いていた。


「クサイ」


「ちぃとばかし吸わせてくれよ、体が回復したがってんだ」


しかし鬼龍は、タウラティカの損壊している装甲部分から流れる血を見て、流石に悪いと思ったのかタバコを磨り潰す。


鬼龍はまた痛み出した傷口の近くを押さえつつ、ぐにゃっと曲がった窓から、あの何とも言えない明るくとも暗い空を見つめながら、プレイヤーキル以外で元の世界に帰れる方法は無いものかと考えていた。


「元の世界に帰れないもんかねぇ」


会社から特別手当ておりねぇかなと思っていると、 どこか言いようのない、無視できない何かの気配を感じ後る。


するとどこからか男の声が聞こえてきた。





「そんなに帰りたいのなら、帰してあげようか?」


アタックアクション『ピスケスクロス』


すると、ドンッ!ドンッ!と、何かが天井から床へ落ちてくると同時に、透明状態から徐々に姿を現す。


「おいおい……マジかよ」


現れたのは白と紫をメインにした、頭部に龍の尻尾、背中にはせびれを模したビームウィングを生やす、2刀流の美少女が……


2人いた。


鬼龍のディスクには相手プレイヤー名【レイフ・カンバー】とその聖霊獣アバター【ピスケティーナ】と表記されていた。


相手プレイヤーの姿は見えず、どこからか指示を出しているようで、2体の聖霊獣アバターに鬼龍を攻撃するよう仕向けるが、すかさずタウラティカがハンマーの武器タウラスを用いて、鬼龍の前に出て防御を固める。




攻撃を仕掛けてくる聖霊獣アバター達に対し、ディスクからカードを引こうとするも、先の戦闘で負傷している傷が痛み、上手く引けずにいた。


やがてソレらの敵は、刀身の長さが異なる2刀流の名刀で襲いかかってきた。


オッサンは私が守る」


タウラティカは損壊部分からプラズマが発生しつつも、2体の攻撃を受け止める。


聖霊獣アバターごと還してやろう、ただしあの世だがね」


「上等だゴラァァァ!返り討ちにしてやる!!」


血が溢れる体で、鬼龍はディスクから空を切り裂くようにカードを引いた。

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