第4話 金牛の強襲! タウラティカ猛進

金牛の少女#1

あれから何時間が経過したのか?体感的にはもう1日ぐらい歩いている気がするが、ここは現実世界の時間は干渉しないという。


しかしこうも長く歩いていると、ある疑問が浮かんできた。


何故お腹が減らず、睡魔が襲ってこないのか?


それをレオーに聞いてみると、先の説明と同じで、現実世界の時間は干渉しない為に、食事睡眠は不要とのこと。


「へぇ~」


そう呟いていると、周囲から焦げ臭いような臭いが漂ってきていることに気づき、しかめっ面になりながらその場所へと向かう。


するとそこには――




「おいおい、マジかよ!」


「どうするマスター?」


「フッ……これはイベント発生だな」





数多くの死闘が繰り広げられたであろう、試作機ステラ達の残骸を横目に、レオーは武器を持つ右手に力を入れながら、ラミィと共に慎重に歩を進めており、彼の表情には僅かながらな緊張と警戒が出ていた。


辺りは試作機ステラのものであろう血飛沫が地面や建物に付着していたり、人間そっくりの頭部や四肢等のグロい残骸や破片が辺りに散らばっているという、嗚咽が起こりそうな地獄絵図だ……いろんなゲームでホラー耐性は持ってはいたが、実際目の当たりにすると気分が悪いどころではない。


「こりゃひでぇな」


また何機かは凄まじく鋭い角で胸や顔を貫かれており、即死級の一撃だというのがわかる。


これらは全て2人が殺った訳ではなく、第3者の仕業であることは間違いない。


プレイヤーの仕業なのか、はたまた強い試作機ステラによって破壊されたものなのか?そう考えるラミィのことを監視している者が、近くの建物の中にいた。





「プレイヤーだな、さぁて【タウラティカ】どうする?」


オッサンの命令に従う」


「オッサンじゃねぇ、俺は【郷田鬼龍ごうだきりゅう】だ、つかまだ26歳だ」


サングラスを掛けた短髪の筋骨隆々の男に、後ろからひょこっと覗く、金の角や両肩に牛の顔を模した飾りが付けられている可愛らしい少女。


彼等の目線には、慎重に歩みを進めるラミィとレオーがおり、奇襲を仕掛けるか否か考えていた。


強そうな相手に見えるが、多くの試作機ステラと相手に戦闘をし、戦闘経験は積んでいる……


ここは――


試作機ステラを倒し尽くして、それを餌にしてばらまいたら、やっと食いついてきたんだ」


「殺るしかねぇわな」


「了解、オッサン





慎重に歩いていた筈のレオの動きが急に立ち止まる。


左耳を動かした後、顔つきが戦闘モードになり、レオンソードを持ち直したレオーに対し、どうした?と聞こうとした刹那――


「来る――」


レオーが顔を上げた瞬間、頭上から何者かが飛び出してきた。


タウラティカだ。


「そのライフ貰った」


まるで落下する隕石の如く、ラミィに激突した……

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