揺れる日常# 4

周囲を嵐の前の静けさが支配する中、聞き覚えのある声が脳内に語りかけてくる。


ニムトの声だ。


「お集まりいただけましたね、おかえりなさいませプレイヤーの皆様、ただいまより第2回戦を開始します、各プレイヤーは聖霊獣アバターを召喚してください」


「それではスリリングなゲームをお楽しみください、では――」





「プレイ」


始まってしまった。


いつ何処からやって来るかもしれない死のゲームが。


「こんなゲーム何の意味があるんだよ」


ラミィは持っていた聖霊獣アバターのカードを召喚する。


召喚され無表情のままラミィを見つめるレオーに対し、お前達は何者で、何故こんなゲームをするのか、何が目的なのか、いろいろと質問してみたが……


聖霊獣アバターである私達は、ただプレイヤーである主を守る為、そうである為だけに作られた存在、それ以外の情報は殆ど得ていない」


「そうか」


パッと見、自身と同年代に見える可愛い少女だというのに、表情どころか感情まで凍てついている、作られたこの聖霊獣アバターも俺達同様巻き込まれた被害者なのかもしれない。


そう彼女を見ながら思っていると、その彼女の口から、聞きなれない言葉を聞く。


試作機ステラ


試作機ステラの存在を感知したと言う彼女に、試作機ステラとは何なのかを聞いてみる。


試作機ステラとは反転世界リバーサルワールドに存在する、私達のような聖霊獣アバターを作り出す為に作られた試作機、それが試作機ステラ


また試作機ステラは自律稼働型で、プレイヤーに攻撃するようプログラムされており、攻撃されHPが0になった場合、プレイヤー同士の戦い同様、存在自体が消滅するらしい。


そう説明を受けているうちに、前方の横に大きくグニャリと曲がったビルの側面から、3体の少女達が現れる。


どうやらアレらが試作機ステラのようだ。


突然現れた試作機ステラにあたふたしていると、レオーが諭すようにカードを引いて指示を出すように促す。


「……!(そうだ、この世界に送られた以上、生きて帰るしかない道はない!)」


「……」


ラミィ達に猪突猛進の如く向かってくる試作機ステラ達に対し、カードを引いてスキャンする。





ウェポンアクション『レオンソード』


レオーは現れたレオンソードを握ってラミィの前に立ち、一番始めに間合いに突入してきた、機械の羽を宿した少女を横一文字に切り裂き、爆破させる。


しかし残りの2機は爆破によって発生した煙を利用し、レオーを出し抜いてラミィの元まで迫った。


「――ッ!!?」


「ハァ!」


しかし瞬時に間に入ったレオーによって、残りの2機も胴体を斬り離され爆破する。


爆破によって発生した爆風にさらされないようレオーが盾になり、怪我の有無を確認されている中、自分がもっとしっかりしないと、レオーが酷い目にあうかもしれないと感じる。


守られるだけじゃ駄目だ、このゲームはカードが勝敗を決める……だったらプレイヤーの自分は精一杯レオーのサポートをしなければいけない。


「レオー、俺は覚悟を決めたよ」


「このゲームに生き残る為に、全力でレオーをサポートするって」


聖霊獣アバターがプレイヤーを守るってんなら、プレイヤーが聖霊獣アバターを守ってもいい、そうだろ?」


「このゲーム、最後に勝つのは俺達だ!」


レオーにとっては驚きの発言だったが、すかさずラミィは彼女の目の前に手を出す。


彼女は一瞬キョトンとしたが、今の今まで見せたことがなかった微笑で、彼に握手に応じた。


コレが、このサバイバルゲームにおいて最強タッグの誕生であった。

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