誕生と消滅#2

蹴り飛ばされたキャンティは、剛三のいる屋上まで飛ばされるが、空を斬るようにして着地する。


しかしこの時、剛三は両腕が骨折しそうなぐらいの強烈な痛みを感じていた。


それはキャンティが蹴り飛ばされたと同時に生じていた。


「グガァ……ィッ何だ!この痛みは!!?」




ここで何処からか全体に響くようにして、G-Zoneの声が聞こえてきた。


G-Zoneによると、聖霊獣アバターと契約者はステータスが共有されており、痛みや状態異常も共有され、どちらかのHPが0になれば、2人共消滅されることになるらしい。


あわててディスクに表示されているHPを見てみると、HPが5000だったのが4250程にまで減っていた。


痛みまで共有されることに激怒する剛三、痛みで震える手で、再びカードを引いてスキャンする。


アタックアクション『キャンサークラッシュ』


「あの聖霊獣アバターを切り裂け!!」


「了解」


両のハサミを限界まで開き、全速力でレオーの元までダッシュする。


どうするべきか悩むラミィに対し、レオーは

カードを引くよう促す。


このゲームはカードが勝敗を決める。


そして遂に決意したラミィは迷うことなく、空を斬るかの如くカードを引く。





"ウェポンアクション"『レオンソード』


一瞬にしてレオーの左手に装備された、レオー程の巨大な大剣。


そして同時に使用したカードが霧散して消えていった。


「カードが消えた?」


「使用したカードは消える仕組みになっている、使う時は見極めが重要……ッ!」


レオーは大剣伸びた先を地面に置き、抜刀の構えでキャンティを迎え撃った。


「――クッ!!」


今の一撃でハサミの装甲部分が幾つか破損し、後方の建物の壁に激突する。


先程よりも強烈なダメージを負い、激痛にのたうち回る剛三。


HPは2960。


この光景に、決意を決めたと言えどカードを引くことに躊躇してしまう。


その時、レオーはラミィに振り返りこう言い放った。





「私はマスターの剣、だからマスターの命令には従う」


「だけど1つ忠告するなら、自分を殺そうとしている奴に情けは無用、殺られるぐらいなら殺った方がいい」


「殺られる前に殺る……ッ!!」


目をギュッと閉じながら、再びディスクからカードを引くラミィ。


それはこの勝負の勝敗を決めるカードだった。

――――――――――――――――――――

お読みいただき有難うございます!

この作品が良いと思ったら、応援していただけると嬉しく思います!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る