第2話 誕生する者 消滅する者

誕生と消滅#1

急に現れたディスクとカードに驚く面々、ラミィは若干震えながらも、ゆっくりとカードを目線にまで上げる。


契約獣アバター レオー・ラ・フォーレム】


コレがラミィの契約獣アバターらしい。


見る者に冷徹な印象を与える青い瞳、肩まで伸びた金のショート、両腕と両足が太い白金の装甲に覆われ、腹部などに所々露出がある堂々とした獅子のような装備だ。


自身のカードを見つめていると、足元に地面を抉る程の斬撃が飛び、衝撃でラミィは吹き飛ばされる。


「イッ……今のは!?」


全身に痛みを感じるが、何とか立ち上がり辺りをすぐさま見渡すと、前方の歪んだ建物の屋上に、何とも厳つい硬派な青年に、その傍らに立つ両腕に備わった巨大なハサミが目立つ少女がいた。


青年の名は【紫波剛三しばごうぞう】と言い、少女は蟹座の聖霊獣アバター【カーニバル・キャンティ】……と――


どうやら自動的にディスクの画面に、対戦相手の情報が流れるらしい。





「こりゃ良いじゃねぇか!殺しアリのゲーム……最高だぜ!!」


"アタックアクション"『シザークロス』SP20


剛三が自身のディスクに、攻撃専用スキルカードであるアタックアクションを無線で読み取り、聖霊獣アバターに攻撃命令を下す。


「ハァァァ!」


右そして左にクロスするように飛翔する斬撃を放つが、転がるようにして間一髪それを避ける。


「――ッ!!(躊躇無しか!!)」


フラつきながら立ち上がるラミィを見て不適な笑みを溢す剛三。


彼は自身の聖霊獣であるキャンティに、ラミィに接近して攻撃するよう命令する。


「最初はテメェだ!!」


「……ッ!」


確実に迫り来る敵に対し、覚悟を決めた真剣な面持ちでカード一瞬見つめ、それをディスクにスキャンする。


キャンティは遂に間合いに突入し、ハサミを振りかざして攻撃を加えようとした……


その時――





突如として現れた少女によって防がれる。


「ッ!?」


「何だと!?」


「……!(コレが俺の聖霊獣アバター……レオーか!)」


ラミィの聖霊獣アバターレオーの誕生の瞬間である。


「プレイヤー認証を確認……プレイヤー確認中……」


レオーは右腕でキャンティの攻撃を防ぎつつ、黄色いレーザーを両目から発射し、ラミィの全身をくまなくチェックする。《マスター》


「正規のプレイヤーの認証を確認、これより目の主の敵を排除する」


そう言うや否や、レオーはキャンティの攻撃を押し戻し、強力な回し蹴りを放った。

――――――――――――――――――――

お読みいただき有難うございます!

この作品が良いと思ったら、応援していただけると嬉しく思います!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る