時はゲームが始まる前へ#3

「――ッ!!?」


まるで脳がいきなり活性化したかのように、目がバッチリと覚める。


すると覚醒した脳に直接語りかける声が聞こえてきた。





「ようこそ、人間の欲望が絡み合う"反転世界リバーサルワールド"へ――」


ラミィを含めた、反転世界リバーサルワールドの各地に集められた13人の男女の前にウィンドウが現れ、不気味な仮面を付けた黒衣の者が歓迎してきた。


困惑する者に混乱する者、呆気にとられる者に呆然とする者、この状況に理解し難い者達の中に、苦虫を噛み潰したような顔でモニターを見つめるラミィ。




「私の名は――『G-Zone』この反転世界リバーサルワールドで行われる"ゲーム"のマスターだ」


G-Zone……それが仮面の者の名前らしいが、果たしてそれが本当の名前なのか?Gは何かの略か?そもそも偽名なのではないか?ゲームとは何なのか?頭の中で思考が交錯していると、ゲーム内容がG-Zoneの口から明らかになる。


「今から君達には、君達自身が叶えたい願いを賭け、最後の1人になるまで戦い続けるバトル・ロワイアルを行ってもらう」


淡々と話すG-Zone……集められた者達の困惑は、やがて悲鳴や絶叫に変わっていき、ある者は逃げようとするが、突如としてその男はその場に落雷を受けたが如く倒れる。


G-Zoneは見せしめのように今彼に降りかかった出来事を映像にして、残りのプレイヤーに見せつける。





ゲームに参加しなければ"死ぬ"。


ゲームは11回行われ、誰か1人が死ななければ、この反転世界から現実世界へと帰ることは出来ない。


そして帰れたとしても、次のゲームの時には瞬間的に反転世界に移動させられる、それはいつなのかは分からない。


そしてG-Zoneの口から更に詳しく説明を受ける。




1つ目【契約獣アバター】について――

契約獣アバターとは、自身の星座を模した未来の超技術で作られたロボット。

契約獣アバターは、契約者以外の命令を効かない。


2つ目【リンクサポートディスク】について――

・リンクサポートディスクとは、契約獣アバターと精神をリンクさせる為に腕に装着する機械のこと。

・ディスクには【スキルカード】というカード型の小型デバイスが20枚セットされており、それらのカードは契約獣アバターを強化したり、必殺技を放たせることが出来る。

・カードの効果を発動するには、ディスクとカードの間を無線通信することで、カードが発動する。


3つ目は【ステータス】について――

・ディスクには常に契約獣アバターのステータスが数字で表されている。


【以下ステータス一覧】

・HP……契約獣アバターの体力のことであり、HPが0になれば契約獣アバターと精神がリンクしているプレイヤーは死亡してしまう。

・SP……スキルを使用する際に消費するポイントのことであり、1ポイント回復するのに10秒の時間を費やす。

・AP……自身の攻撃力のこと。

・DP……自身の防御力のこと。

・QP……自身の素早さのこと。

・FR……自身の火属性耐性のこと。

・WR……自身の水属性耐性のこと。

・GR……自身の風属性耐性のこと。

・TR……自身の雷属性耐性のこと。

・SR……自身の土属性耐性のこと。

・BR……Burn Resistanceの略であり、自身の火傷耐性を意味する。

・VR……Venom Resistanceの略であり、自身の毒耐性を意味する。

・PR……Paralysis Resistanceの略であり、自身の麻痺耐性を意味する。





G-Zoneの口からそう聞いた殆どの者は、体が震え始め、いよいよコレは現実なのだと、決して夢幻の世界では無いのだと自覚する。


「こんなゲームは間違っている!今すぐ俺達を解放しろ!!」


茶髪の少年が詰め寄りながらそう叫ぶ。


「フム……例えば、君と誰かが宇宙飛行士として宇宙船に乗船したが、予期せぬ事故で宇宙船から2人、虚無の宇宙に投げだされたとしよう」


「その虚無の宇宙の中に、宇宙船からはみ出た機械のロープがある」


「しかし、それはどう見ても後僅かで千切れてしまう……君はどうする?」


「自分だけが助かるか、自身を犠牲にしてまで相手を生かすか?愚かにも2人で掴んで共に果てるか?」


「……」


そのG-Zoneの問いに、少年は口を閉ざす。


「君達の中で、誰がロープを掴むことが出来るのか、競争の始まりだ」


すると12人の各プレイヤーの左腕に、リンクサポートディスクが現れ、右手には自身の契約獣アバターが描かれたカードがあった。

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