第14話 ベッドの中
大変な一日を終え、マリがベッドに入ったのはかなり夜遅くなってからだった。体は疲れているが、脳は興奮状態なのか、なかなか寝付けなかった。
駆除業者を速攻に手配しなければいけないのは義務であり、そして自分が彼らの周到な計画に「気が付いてないフリ」をするためにも必要な事だった。もしかしたらそのことも相手が想像しているかもしれないと考えると、悔しさが倍増した。
「馬鹿にされている。きっとさち先生から私になったから、この計画を実行したんだ。もしかしたらさち先生と今日会ったことも漏れているかしら。だとしたら」
このことをさち先生に話すか。
それについての結論はミントもマリも出せないままだった。
「マリ、あなたの話から、さちの楽しそうな姿が目に浮かびます」
「さち先生は、ずっと戦ってきた、だから今は・・・・」
「ゆっくりして欲しいですか? 」
「この図書館にさち先生がまた来ただけで、窃盗団の計画は延期になるかもしれないけれど」
「きっと延期だけです」
「私もそう思う、いずれ彼らはやっては来る」
「マリ・・・素晴らしいですよ、分析力も覚悟も」
「ミント、それは窃盗を未然に防いでから」
「そうですね、そろそろ休んでください。業者の選定は総司令部が行い、最終チェックは私達が行うことになります。とにかく今日はゆっくり、マリ」
「ありがとうミント、ミントも休んでね」
「ええ、マリ、おやすみなさい」
そうは言ったものの、ミントは何かをしているかもしれない。それこそ宇宙中の信頼できるAIと連絡を取っている可能性はある。しかしマリは体の疲れからか、ふと昔の事を思い出した。昔といっても数年前、さち先生と初めて会ったときのこと、両親のこと、母星のこと。記憶の中に眠りと共に落ちていくような気がした。
「お母さんに連絡した方が良いかな・・・忙しくなる前に」
寝言のように呟いた。
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