7/31④ 記念すべき第1号
7月31日20:54
某斎場
カァーッ!
おいおい、
どうしよう?
帰ろっかなぁ?
美咲ママが、待ってるしねぇ。
死んだ奴の顔見てもなぁ……ブツブツ
「皆川……おい、皆川……くっ……シカトこいてんじゃねぇ!」
ボコッ!
「……っ痛ぇ。ねぇ君、後ろから襲撃は酷いなぁ。口の中切れたぞ。しかも
ザワザワ……
「おい、何やってんだ?
「立嶋、落ち着けって!」
「大丈夫か?
「ん?ああ。賢治……いや、父さんの背広の袖が破れたけどね。いやぁ、参ったなぁ……」
「おい、皆川!どうして洋介を助けなかった?二人なら戦えただろ!」
「まあ、待て立嶋……相手はナイフを持ってたらしいじゃないか。
なるほど……空手部員ね。
「えっと、立嶋君?ナイフで襲われた事、あります?」
「無いっ!無いが、ナイフを叩き落とす事が出来たはずだっ!この弱虫がぁ!洋介が死んだのはお前のせいだ!」
「立嶋、言い過ぎだぞ!皆川だって必死だったんだよ……」
チッ……あぁ、なんかシラケたわ。
「立嶋君、すみませんでした。ボク……オレが弱いばかりに……どうか、今度修行をつけ直して下さい!じゃあ、皆、悪かったね」
「いや、そんな事ないよ……帰るのか?賢人」
「ああ、洋介に合わせる顔が無いよ。明日の葬儀には出席する」
決ーめたっ!記念すべき第1号は……お前だ、立・嶋・君♪
「立嶋……言い過ぎだぞ。1番辛いのは、その場にいた皆川だろ」
「ああ、分かってるよ。でも、洋介のオリンピックの夢が消えたと思うと悔しくてな……悪ぃ、俺も帰るわ。また、明日な」
7月31日21:29
某所
「やぁ、立嶋君……」
「み、皆川……」
「さっきの、痛かったですよ?歯が折れるかと思いました。それに……砂利で賢治の背広が破けたわ」
「な、なんだよ?仕返しか?」
「仕返し?そんな事はどうでもいい。ただ立嶋君が、ボクの欲求を駆り立てた……それだけです」
ゾクッ
「ナ、ナイフ……そんなモン持ち歩いてんのか?やっぱり仕返しだろぉが!」
「あ、コレはまだ使いません。実は、ボクね……皆川賢人じゃ、ないんですよ」
皆川(阿久津)は、ナイフを地面の上に投げ捨てた。
「み、皆川……お前、ショックで頭どうにかなったのか?」
「え?いや、
「クッ……ふざけてんじゃねぇ!オラァッ!」
立嶋の正拳突きが、皆川(阿久津)の顔面目掛けて飛んできた。
皆川(阿久津)は、ギリギリのところで
「おおっ、痛っぇ……」
「どうした、皆川?口だけか?」
立嶋は、皆川の
「参ったなぁ、やっぱりまだカラダが慣れていない。いやね、皆川君の方がボクより背が低いもんで……」
「お前……本当に、どうした?」
立嶋は、皆川(阿久津)の態度や対応に恐怖をおぼえ始めていた。
「ごめんね、立嶋君。よっしゃ、やりますか!」
皆川(阿久津)は、低い体制のまま立嶋の懐に飛び込んだ。
立嶋は、防御に備えるが皆川(阿久津)は想定外の攻撃を仕掛けた……
「グギャアアアッ!!」
立嶋は、下腹部を押さえて
「ウヒョ〜、痛そう。大丈夫?潰れてない?キャハッハッハッ」
「み、皆川ァ!卑怯だぞっ!まがいなりにも武道家だろ!クッ……」
「え?ちょっと……言いましたよね?ボク、皆川君じゃないんですよ。あー、もう面倒臭っ……」
皆川(阿久津)は、立嶋の顎を蹴り上げた。
その勢いで倒れた立嶋の上に馬乗りになると、何回も何十回も拳を振り落とした。
「ふぅー、疲れた。さてと、仕上げますか……」
立嶋の顔は変形し、もはや見る影もなかった。
皆川(阿久津)は、ナイフを拾い上げると嬉しそうに舌なめずりをした。
「や、やめて……み、皆川……許……フゴッ」
皆川(阿久津)は、ナイフを逆手に持ち替えると、立嶋の口の中に刃を突っ込んだ。
そして……勢いよくスライドさせた。
立嶋の口角は、バッサリと切り裂かれ、血が飛び散った。
「キャッハー!これよ、これこれっ!このゾクゾクが堪らないよ!」
皆川(阿久津)の歓喜の声が、立嶋の恐怖を煽った。
そして、悟る……
ああ、俺は……コロサレル
「立嶋君、礼を言うよ。少しだけ楽しかったよ。ファミリーが待ってるから、ボク早めに帰らないといけないんだ……じゃあ、バイバイ」
数日後、立嶋は無惨な姿で発見される。
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