全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れができました
三国洋田
第1話 バッファローの群れ完成!?
「できましたよ、係長! 『全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ』です!!」
「……私が作れと言ったのは『会議の資料』だよね? なんでそんなものを作ったの?」
「資料を作っていたら、なぜかできました!」
「ええっ!? そんなバカな!?」
「
「はい、その通りです!」
「なんでそれでバッファローの群れができるの?」
「まったく分かりません! いきなりパソコンが光って出て来ましたよ!!」
「ナニソレ…… 訳が分からないよ……」
「この世には、不思議がいっぱいありますね!!」
「そうだね……」
「ところで、なんで『全てを破壊しながら突き進む』って言ったの? バッファローたちは、そんなことしてないよね?」
「背中に、そう書いてありますよ」
「あっ、本当だ。なんでこんなものが書いてあるの?」
「そこも分かりません」
「そうか……」
「ということは、この世の不思議のひとつですね!」
「そうだね……」
「係長、この子たちはどうしましょうか?」
「うーん、そうだねぇ……」
「やはり悪の組織として、この子たちを解き放つべきなのでしょうか?」
「何言ってんの!? うちは悪の組織じゃないよ!?」
「ええっ!? そうだったんですか!?」
「当然でしょ!? なんでそんなに驚いているの!?」
「うちの会社って、ブラック企業ですよね!?」
「いや、そんなことはないよ!? かなりホワイトな企業だよ!?」
「えええええっ!? そうだったんですか!?」
「そうだよ! サービス残業もパワハラもアルハラも、まったくないでしょ!!」
「係長、ちょっと良いですかバッフ?」
「えっ!? いま、バッファローがしゃべりませんでしたか!?」
「あ、ああ、確かにしゃべったね!? 君たちはしゃべれるの!?」
「はい、しゃべれますよバッフ」
「なんでしゃべれるの!?」
「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れだからじゃないですかバッフ?」
「そ、そうなのか…… しゃべれないという常識まで破壊してしまったんだね……」
「さすがは全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れですね!!」
「そうだね……」
「あっ! もしかしたら、パソコンから出て来れないという常識も破壊したのかもしれませんね!!」
「そうだね……」
「係長、我々は何をしたら良いんですかバッフ? 走って、全てを破壊すれば良いんですかバッフ?」
「いや、それはやめて欲しいかな」
「なぜですかバッフ? 悪の組織なのにバッフ」
「だから、うちは悪の組織じゃないよ! なんでそんな勘違いをしているの!?」
「悪の組織のニオイがするんですけどバッフ」
「ナニソレ!? 訳が分からないよ!?」
「それはどんなニオイなんですか?」
「そうですねバッフ…… 甘酸っぱい果物のような、さわやかなニオイですかねバッフ」
「へぇ、そうなんですか」
「それ、全然悪っぽくないよ!?」
「失礼するでござる。こちらにバッファローの群れはいるでござるか?」
「えっ? どちら様ですか?」
「拙者は『
「や、闇係長!? なんですか、それは!?」
「名前通りの闇の係長でござるよ」
「そ、そうなんですか……」
「あっ、ここにいたでござるか! こやつらは拙者が連れ帰るでござる!!」
「えっ、あっ、はい、お願いします」
「では、失礼するでござる」
闇係長とバッファローたちは去って行った。
「係長、うちって、悪の組織のフロント企業みたいなものだったりするんですか?」
「その可能性もありそうだね。とりあえず、警察に通報しておこうか」
「そうですね」
その後、闇係長たちは逮捕され、悪の組織は壊滅した。
バッファローたちは、動物園に引き取られた。
係長と
めでたしめでたし。
おしまい。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れができました 三国洋田 @mikuni_youta
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