言い訳
だら子
第1話
私には三分以内にやらなければならないことがあった。
この犯罪が見つかった場合、どんな言い訳をすればいいか。
考えなきゃ。
彼は一個上の先輩だった。どんな人でも優しい彼にたちまち恋し、衝動的な私はすぐに告白する。「好きです付き合ってください」
そして彼女がいるからとフラれる。
彼女がめっちゃスリムなことを知り、その足でジムに入会。
「一緒に頑張ろう」なんて生ぬるい言葉だったけど、彼女を信じた。
このカラダのせいで彼とお付き合いできないなんて嫌。病弱??いいえ、太ってるだけよ。
彼はスリムな女性が好きみたい。
くびれよくびれ、くびれくれ。
70キロから50キロを目指した。
道のりは長い。
話それたけど3分後いやもう2分後のこのカップラーメンを食べるまでに考えなきゃ。
カレーカップラーメンの匂いがもれてくる!
卵とエビの具がもっとマシマシならいいんだけど。
カップラーメンって食べたら終わりなのよ。
欲望に歯止めがかからなくなる。
だって、ご飯たべたくなるじゃない。え、わたしだけ?ご飯をひたして食べるのって。
もしご飯を我慢したとしても、食後にはアイスを食べたくなる。
あっダメダメ考えなきゃ。
ダイエット、もうやめようって。
美しさなんてもういらないんですわたし。
ちょっと痩せて美しくなったら、一緒に頑張ってきたジムのトレーナーが、「好きです付き合ってください」なんて言ってくるもんだからさぁ大変。
多様性の時代だから、否定はしない。
でも私の恋愛対象は男なのよ。
さぁ3分、食べるわよ。
ああ、美味しい。
もう食べてしまったら、この犯罪のいいわけ、いや隠蔽工作なんて思いつかないわ。
もうたまらないわこの旨さ。でもこの犯罪が見つかったらしばらくこんな美味しいもの食べられないかも。
何もかも面倒。
考えられない。
衝動的な私はすぐ殺した。
カップラーメン食べたいって理由で。
私、死体はそのままにしてるのに、
カップラーメンの容器は洗ってるわ。
笑っちゃう。
言い訳 だら子 @darako
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