器/増田朋美様
【作品タイトル】
器
【作者名】
増田朋美
【URL】
https://kakuyomu.jp/works/16818093073042671506
【ラーメンの種類】
担々麺
【あらすじ】
ぱくちゃんが担々麺を作って記者に身の上を語ります。
【感想】
ラーメン小説の枠を超えて、様々なことを考えさせられたお話でした。
まず思ったのは、飲食店とは一体何なんだろうということです。思えば人から食べ物をもらうというのは相手を信用していないとできない行為です。お話の中心はラーメン店への雑誌記者の取材ですが、この両者の間に信頼関係があったのかというのが気になりました。
異国でひとり料理を作って生計を立てているぱくちゃんですが、彼は暴動から逃れてきたという背景があるので簡単に心を開きません。そもそも雑誌記者もぱくちゃんと交流したいわけではなく、たまたま訪れたようなラーメン屋の紹介の記事に書く言葉を探しているだけです。そしてそうやって作られた記事を読んでぱくちゃんの店に足を運ぶミーハーな客たちは、すぐに違う店に行ってしまいます。ネットでよく見かける有名な言葉に「ラーメンを食ってるんじゃない、情報を食ってるんだ」というものがありますが、まさしく雑誌記者も客も担々麺ではなく「情報」を食べに来たのでしょう。
ぱくちゃんが変わらない生活にこだわるのも、故郷を追われたせいでしょうか。故郷の味を作り続けて、帰れるかどうかわからない故郷を思い続けている。ぱくちゃんの想いはぱくちゃんだけのものであり、それをメディアで持て囃すのはやはり不躾であると思いました。彼が担々麵を作り続けることでいつの日か真の平穏にたどり着くことを祈ります。
ナイス担々麺!
ご馳走様でした!
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