【KAC20241】 黒猫サファイアの出張看板猫
るしあん @猫部
飲食店の掟《おきて》
【黒猫サファイアside】
七之助には三分以内にやらなければならないことがあった。
お客様が来店したら、お茶とオシボリ、メニューをお持ちする。
アルコールの注文があれば、
飲食店によっては、お通しが有料な店も多いけど、七之助の店では
お人好しの七之助らしいけど、そこには嫌らしい計算があると知った。
本来、ボクは本屋の看板猫なんだけど、七之助の愛猫である三毛猫のさくらが、
『どうしても見たいテレビ番組があるから』と代役を引き受けている。
初めての七之助の店での代理看板猫だけど……
「三毛猫のさくらちゃんも可愛いけど、黒猫も良いわねぇ~ 」
そうでしょう、そうでしょう、ボクの魅力にお客様はメロメロさ !
ガラガラ ガラガラ
「よう、大将 ! 四人なんだけど、席は座れるかい ? 」
「いらっしゃいませ。
こちらのお席にどうぞ 」
七之助の嫁、栞ちゃんがお迎えすると、お客様の目尻が下がっている。
七之助の店は、年配者が多いので自分の娘か孫みたいに感じるのだろうね。
「大将、とりあえず生ビールを四つ頂戴 ! 」
お客様の注文に、三分以内にやらなければならないことを守って、栞ちゃんが生ビールをサーバーから注ぎお盆に乗せて持っていく。
そして、二人の子供である
それはそうだろう、自分達の孫か
流石、七之助 !
趣味で書いている小説は面白く無いけど、商売は上手いよね !
えっ、『ボクは手伝いをしないのか ?』だって……
ボクは可愛い黒猫だから可愛いがられるのが仕事さ !
だいたい『猫の手』なんて、前々回のKACのお題じゃないか !
そんな昔のことなんて、覚えている人なんていないさ。
庭に面している部屋には縁側で、お客様からおこぼれをもらっている野良猫たちが居る。
普通ならクレームがきても仕方がないのだけど、このあたりは住む人がないままに、荒れはてた家屋。
だから、野良猫たちが番猫をしているお陰で、店にはネズミが寄り付かない。
ボクやさくらは可愛いがられるのが仕事だから、ネズミなんて取らないよ。
何処かの青いタヌキみたいにネズミが怖いワケでは無いからね !
本屋の方は大丈夫か、だって ?
立っているものは親でも使え、と言うだろう。
本屋の方は栞ちゃんの両親が見ているから大丈夫 !
ボクの代理で義妹のルビーが看板猫をしてるしね。
「サファイアちゃん、マグロ食べるかい ? 」
「ニャァ~ン ❤️」
お客様のご指名に愛想笑いをするボク。
お客様にサービスしているんだから、後から七之助にもアルバイト代を請求しないとね。
ガラガラ ガラガラ
また、お客様が来た !
サービス、サービス !
※作者より
KAC20242に続きます。
https://kakuyomu.jp/works/16818093073106878154
【KAC20241】 黒猫サファイアの出張看板猫 るしあん @猫部 @SHIGEMI
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