レッドオアブルー
海猫ほたる
レッドオアブルー
それは、時限爆弾の起動スイッチを解除する事。
それと、後ろで縛られている
同時に踏み込んだベテラン刑事のスミスとポールは既に
あと、残っているのは
普段の
こんな危険な現場に赴く事は滅多にない
が、たまたまマフィア集団オカサファーのアジトが郊外の廃ビルにあると通報が入った。
急遽、
だが、それは罠だった。
突入したはいいが、廃ビルには誰もおらず、客にマフィアたちの奇襲を受ける事になったのだ。
そしてマフィア達と共に現れたのは、同僚だったはずの女、アニエス。
「アニエス……君が……」
「そうよ私が裏切り者だったのよ。でももうあなた達はここで死ぬから、関係ないわね。あははははは」
アニエスはマフィア達と共に去って行った……次元爆弾を残して。
「くそっ!早く……この爆弾を解除しなければ……この赤と青のコードはどっちを切れば良いんだ……」
間違った方を切れば、
「う……」
「大丈夫か……今すぐ助けてやるからな……だが……どっちを切れば良いのか分からん」
「俺……は……良いから……好きな方を切れ……」
「わ……分かった」
そうは言ったものの、まだ
彼は生来の優柔不断だったのだ。
レストランのメニューですら、選ぶのに三十分はかかる男である。
レストランに行くたびに、恋人のティファニーに呆れ顔をされていた。
そんな男が、生と死を分ける赤と青のコードを選ぶのは、50メートル先に吊るしたキーリングを撃ち抜くよりも困難な事である。
「ああくそっどうしたら良いんだ……さてはアニエス、俺の性格を知った上でこんな
刻々と爆弾のタイマーはゼロに近づいていた。
もう……ダメか……
解除コードを選ぶ事が出来ずに諦めかけた、その時だった。
「全く……呆れた男ね……」
「お、お前は……」
颯爽と現れたのは、怪盗カタパット。
普段、
「今日は捕まえにこないから、何してるのかと思って見に来てみれば、次元爆弾のコードで悩んでいたのね」
怪盗カタパットは覆面をしていて、正体は分からない。
だが、声は恋人のティファニーとそっくりだった。
だが、
「こんなコード、さっさと切ってしまいなさいよ」
「分かっている……分かっているが……俺には……」
「ああもう焦ったい……貸して!」
ティファ……もとい怪盗カタパットは
「ああっ!……爆発……しない……」
「ほら、こういうのはどっちでも良いからさっさと決めたら良いのよ」
次元爆弾のタイマーは残り0.01秒を残して止まっていた。
「た、助かった、怪盗カタパット」
「ふふ……また私を捕まえに来なさい……じゃあこれで」
そう言うと怪盗カタパットは颯爽と消え去った。
「ああ、今日の所は助かったぜ、怪盗カタパット。だが、いつの日か俺が絶対捕まえてやる……」
「さーて、そろそろここからおいとまするとしようか……おい、
「あ、ああ……俺……は……大丈夫」
「そうか、なら帰るぞ。早く帰ってティファニーの手作りクラムチャウダーが飲みたいぜ」
了
レッドオアブルー 海猫ほたる @ykohyama
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