第3話 人間達との戦い
そして、コロの唾液は、いつの間にか強力な酸へと変化をしていたようだ。
かみ傷から体内へ入り、体組織を犯していく。
外からは燃やされ、やがて呼吸もできずケルベロスが倒されることになる。
その音は数キロ離れたところでも聞こえており、偵察に人間も来ていた。
「おお、やったぞ」
今のままなら、人間は守ってもらえる。
だが人々は考える。
今はモンスターがいて、興味があちらに向いている。
だが居なくなれば、人間を襲うのではないか?
目の前で、大物を倒した犬たち。
強すぎるが故、恐怖を与えてしまう。
ある日、毒を持ち、彼らを囲む。
一斉に、矢が放たれる。
だがそんなもの、彼らにはすでに効かない。
毛に当たり、刺さりもせずにカラカラと、乾いた音を立てて地面へと落ちる。
匂いをかぎ、毒だと判ったのか、少し悲しそうな顔をして、その地を離れてしまった。
そう彼らは、自らの手で、守護神を手放してしまった。
この世界、これから先、守護神と人間の共生のような世界になっていく。
今はまだ誰も知らないが、力のバランスを考えるとそうなっていく。
人が再び、凶悪な武器をそろえるまで、数百年か数千年かそれは分からない。
それまでは、入らずの森を作り、人々は山や土地を崇めるだろう。
大昔の日本がそうであったように。
歴史は巡る。
かれらは、ヨーロッパ側へと住処を移した。
ケルベロス達が、食い荒らしどうしようもなくなった土地。
食料になるモンスターは居るし、人も居ない。
彼らは、そこで暮らし始める。
ヒマラヤからの伏流水も湧き、住みやすい。
その頃、バッファローたちは、人を追い詰め、北上をしていたが、冬となり寒さがキツくなってきた。
暮らしやすさを求めて、少し南下をする。
暖かくなるまで半年ほど。
両者はとどまることになる。
その間に人々は、ミサイルを用意し始めた。流石に核は使えない。
そこまで壊れてはいなかったが、クラスターやナパームを用意する。
衛星などの高空から情報を拾い、そこに対して攻撃を開始をする。
それは一国だけでは無く、幾つもの国で同時に始まる。
攻撃地点に、幾つも村や町があるが、見なかった振り。
最優先をモンスター討伐へと目標を定めた。
『人の手に地上を取り戻せ。モンスターは殲滅しろ』
熱病のように、そんな言葉を繰り返す。
その日、空から何かが降ってきた。
予測くらいはできる。
直撃だ。
そう思ったときには、すでに雄叫びを上げて知らせ、彼らは移動を開始した。
魔法が使えるものは、炎や雷を用いて迎撃をする。
着地点の近いものは、すぐに破壊され、遠いものは必要が無いので放置。
そして、それがどういう物かを彼らは理解する。
あちらだな。
攻撃が来た方向を、見つめると、雄叫びを上げて進撃を始めて行く。
攻撃は、人の居ないエリアから輸送起立発射機によって行われた。短距離弾道ミサイルで、飛距離は五百キロ以内のもの。
モンスター相手だからそれで良いという判断だった。
短距離弾は多種多様な弾頭があり、今回のようなとき使いやすい。
攻撃を、広範囲にばら撒くため、今回はクラスター爆弾が使われたが、
燃料気化爆弾は燃焼しなくても高圧力とそれに続く真空で窒息させる。
ただモンスターに効くかが不明なため、クラスターが採用された。
静止衛星からの情報を見て、雲が晴れた後彼らが一斉に発射地点に向けて走り出したのを見る。
「来るぞ。逃げろ」
オペレーターが叫ぶ。
発射地点までは山を越え谷を越え、三百キロくらいある。
だが彼らは、迂回し、面で制圧をしに来た。
山間部には、防衛基地もあった。
出発点よりは百キロ以上離れていた。
むろん発射点と、攻撃地点の直線上では無い。
だが彼らが、直線組と迂回組とに分かれてしまい、その範囲には基地が入ってしまう。
そして鼻が良い彼ら。
違和感を感じ取る。
通るときの駄賃だと言わんばかりに攻撃が始まり、防衛基地は壊滅をする。
実質は、地上部分だけだが、エレバーターシャフトは破壊され埋められてしまった。
匂いで判ったのだろう、予備通路まできっちりと埋められてしまった。
むろん基地に向かう道路も、きっちりと壊される。
そして、輸送起立発射機は壊され、来た所つまり基地があるところを、山間とは別に二カ所潰されることになる。
その時にモンスターが、魔法を使っていることに初めて気がつき恐怖をする。
そして、
その事は、ビデオで再度確認され、情報は世界中に流される。
モンスターは知能を持っていると。
その事実は、意外とダメージが大きかったらしく、隠れ住んでいた人々に衝撃を与えた。
これは侵略戦争なんだと。
今までは、モンスターたちの暴走。
自然で、災害的な範疇だと思っていた。
ところが知識があるのなら、話は違う。
攻撃を受けて、住むところを奪われた。
そうして話し合いに行った人間が、無残に殺される。
「知性はあっても、話が通じるかはわかんないからな。より凶悪になった動物なんだよな」
誰かが、ため息を付く。
第4話へ続く。
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