【KAC20241】ゆちか、さよならの三分前。

マクスウェルの仔猫

Prologue あと三分。

『○○には三分以内にやらなければならないことがあった』


 何だ、あの広告。

 三本ツノはやした鳥が、紙持って座ってやがらあ。


 こんなん、アツシとか佳奈が見たら大喜びだな。

 特に佳奈はゆるキャラ大好きだしな。


 撮っといてやるか。

 はい、チーズ。


 よし、うまく撮れた。

 送っとこう。


 見た瞬間のアイツらの嬉しそうな顔が目に浮かぶ。

 笑っちまうな。


 …………笑えねえ。

 時間が気になって、うまく笑えねえ。


 新幹線が発車するまであと三分と、ちょい。目の前には、おチビメガネちゃんと、イケメン門倉かどくら


 順番を譲ったのは自分でした事だ。

 しゃあない。


 だけど。


 また、広告を見る。


『○○には三分以内にやらなければならないことがあった』

 

 これ、今のあたしのことじゃねえか。

 何様だこの野郎。

 

 あと三分。

 何を言う?


 手紙とセンベツを渡して……何を言ったらいんだ?

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る