ダメ男の共通点

エッセイ

ぼけっとTVを観ていたら、自動車保険のCMが流れた。

普段あまりTVを見ないのだが、このCMは、やけに頻繁に見掛けるな。

何かが引っ掛かる、懐かしい様な…？と思い、はたと気が付いた。

出演している女優さんが、私が昔、お付き合いをしていた男性と顔がソックリなのだ！

（女性だから美人さんだが、彼はナヨナヨしていて、特にイケメンでも無かった。）

今思い出しても、情けなく腹立たしい気持ちが込み上げてくるような、ダメ男だった。

そんな彼を、私は本気で愛していた。

収入の無い彼を、私が養ってあげたいと結婚を願い、彼のお母様とも仲良くしていた。

彼とは知人の紹介で知り合ったのだが、先ず、最初からダメダメなプロフィールであった。

地元で有名な、評判の悪い高校を一年で中退、長年無職で自称パチプロ。

実際は、同居の高齢のお母様を頼りに生活していた。

家事も一つも出来ない、今で言う、子供部屋おじさんであった。

アニオタで趣味は同人誌（読み専）、コスプレ収集（ロリアニメの等身大制服など）・フィギュア収集。

ゲームはホラーかギャルゲー、ロリ物をやり込んでいた。

パチンコは一応、仕事なので真面目にスロットを日課にしていた。他に趣味で競輪・競艇をこなす。（勿論、赤字）

ひ弱なくせに（だから強い男に憧れるのか）格闘技を習っていた。そして練習嫌い。

お金は無いのに暇はあるからと、飲み会に顔を出しては、仲間に奢ってもらう。

そんな男だった。

何故、そんなのに惹かれたのか！

自分で言うのも何だが、私は未だ若く、浅はかだったのだ。

彼は優しい男だった。

私は日を追う毎に、見たくも無いアニメやゲーム、格闘技を、延々と見させられるのにも慣れてしまっていた。

歳を重ねれば、当たり前のように分かってくる事が、若いうちはピンとこないのだ。

収集する趣味物などのカテゴリーは違えど、何度、同じ様なダメ男に引っ掛かったことか。

そして今、改めて思い返すと、ダメダメな彼らには共通点が浮かび上がる。

全員、ぬいぐるみ好きなのだ。

好きと言っても、無論、所持するだけでは無い。まるで魂があるかの様に、可愛がるのである。

私はそんな彼らの一人芝居に、すっかりヤラレてしまう。ぬいぐるみも含めての可愛らしい絵面に、心をギュッと持って行かれてしまうのだ。

以前の私は、なんて馬鹿らんちんであったか…。

そんな、繊細で幼くて、自己完結していて、図太い彼らに、散々、煮え湯を飲まされた。

今となっては私に伴侶なぞ要らん！と人生達観しているつもりだが。

はて。

私には今現在、人格の優れた、素敵な推し様がいる。

彼は世界のスーパースターなので、勿論、実際に個人的に関わることは生涯無い。

そんな、私が尊敬して止まない推しだが…

ぬいぐるみ好きという、私の男性遍歴の共通点に、入ってしまっている？

……！

やはり、三つ子の魂は覆せないのか。

お若い諸君にお伝えしたい。パートナーは、自分の指向だけで選んではいけない。

fin