第3話チートな彼のハーレム計画
新しいメンバーが現れないまま一ヶ月が過ぎました。
巷では”サイガ様は運命の人を探している”なんて噂が流れ、ギルド応募者の9割が女性になりました。
その間にもサイガ様は犯罪組織を崩壊させたり、封印が解かれたドラゴンを再度封印したりと活躍の場を更に広げております。
しかし唯一解決しないのが新しいメンバー問題。ここ一ヶ月で80人の面接と直接探しに行く勧誘の旅をしましたが、うまくいきませんでした。
「もう嫌だ~~!!!なんでいないんだよ!?これならあの店から引き抜いたほうが俺の精神的には……うう……」
珍しくサイガ様が暴れています。まあ、柔らかいベッドの上で、上下左右の部屋には誰もいないので聞いている者は私しかいませんが。
「サイガ様、お茶を入れますので少し休憩しましょう。太陽通りのパティスリーのお菓子もありますよ。」
「う……ありがとう……」
サイガ様ならどんな方でも選び放題だと思いますし、実際面接に来る方は多種多様な方だったのですが、やっぱりサイガ様の理想は高いのでしょうか?
「サイガ様は、運命の人を探しているのですか?」
噂でしかないのだが、こうもメンバーが増えないと、もしかして初めから決めた人物を探しているのではないかと思えてくる。
「あー……なんか噂でそう言われてるらしいな。でもな、別に運命の人を探してるわけじゃないんだ。」
「私もサイガ様の求める人材がよくわからないのですが、どういった方なんですか?」
「……言っていいのかなー……まあ、ロロテナならいいか。うん……俺はな、イケメンを探してるんだ。しかも何人も。」
「イケメン……ですか?サイガ様程の見目の麗しい男性はなかなか見つからないと思いますが……」
男性を探しているなら女性ばかり集まってくる今の状況は、サイガ様にとっては厳しいといえる。以前違った反応を見せたエリックは、勧誘してもいいと思えるほどの美男だったのだろう。
しかし、そのエリックはもう別の主人に仕えている。
「イケメンってのは、容姿がいいだけじゃダメなんだよ。もう顔は中くらいでいいからさ、性格がよくて話も合って守った時にちゃんとありがとうって言ってくれるようなやつが……」
なぜ様々な女の人を断って男のサイガ様がイケメンにこだわるのかよくわかりませんが……
「もしかして……サイガ様は男の人が好きなのですか?」
「この際だから全部言うけど……そうだよ、俺は将来俺を好いてくれる男たちを探すためにギルドを建てた。」
「なんと……そういったお考えだったのですか!」
驚きました。まさか、私が仕えている主人が同性愛者だったなんて……ん?同性愛者でなにか悪いことがあったでしょうか。犯罪ではないのですし何も問題はないのでは?
しかし、この国では同性愛が広まると子供が産まれなくなる、と禁じられていたような気もします。興味がないのであまり覚えてはいませんが……
サイガ様程の影響力を持った方が同性愛者だと広まれば、騒動になるような気がします。
「あの、その事は誰にも言っていないのですか?」
「ああ、今知ってるのはロロテナだけだな。」
「どうして私に……」
「んー……ずっと秘密を抱えてると辛くなるんだ、自分が排斥される存在であるなら尚更な。といっても、男のハーレムを作ろうとしてるような奴なんて排斥されて当たり前なんだけどな。」
そうやって語るサイガ様の目は、ずっとずっと苦労してきたように感じられました。私と出会う前から、ずっと。
「わかりました……!このロロテナ、全身全霊をかけましてサイガ様を応援します!」
「お、おお?ありがとう?」
私の小さな頭脳をフル回転させて、サイガ様にふさわしい伴侶を探さねば。
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