第3話 ミームにおける裏側の潜伏者と契約者の勇気
「なんかさー。こないだ職場の上司が例のミームの歌口ずさんでたから、流石に見かねて古いっすよって注意したんだけどさ。」
「うわ、上の課長ですよね。あの人何でもワンテンポとろいんだよな~。こないだやっとAI覚えたって言ってましたよ?」
「流行にも仕事にもとろいよな~。営業成績もカスだし何であのポジションにいれるんだろ。」
「なんか根暗で愚図くて不快だから、上司もこないだ言ったように、とっとと首にすりゃいいのに。あ、そーいやあれ見た?『押し入れからサプライズ』」
「見てる見てるwwwww。こないだバズった子供が仲直りの花渡してくる奴めっちゃ可愛かったwwwww」
「あの後引き込むのが渡した相手の弟っていうオチも最高だったよなww。つーか俺、まず押し入れっていう収納形態をあの動画で知ったって若い子多くてビビったわ。」
「まぁ今の時代全部クローゼットだからなぁ……。もっともそれのリフォームで食ってる会社なんだけどな。俺ら。」
「だな、まぁ高いだのボッタだの言われまくってるけど、知るかそんなのって話だよなwwww」
「あ、先輩方お疲れさまっスー。」
「お疲れ新入ちゃん!うちの雰囲気にはもう慣れた?」
「何とか!飛び込み名刺ワンケース配りめっちゃ大変でしたけど、例の押し入れミームのマネして、エレベーター利用したらめちゃウケだったっす!」
「おー!やるじゃーん!うちノルマ厳しいからそういうセンス大事よ~。」
「なんかはけるの歴代最速だったらしいし、有望新人くんじゃんね。ちなみにどんな感じだったのかちょっとやってみてよ。」
「あ、ちょうどこの屋上ガラガラドアなんでやってみますね。」
「いよっ!」
「待ってましたっ!」
「まずー。ミーム通りドアの向こうに隠れますよねー。」
「おうおう。」
「で、名刺だけちらっと出しておくと。」
「幸いこの時点でミームわかる社員いてくれたんで、『そなたは中の住人かえ』言ってくれたんですよwww」
「運いいじゃん新人!あ、ちなみにそれ元ネタは四半世紀前にやった歴史ドラマのネタ公家役の音声らしいぞ。」
「マジすか!勉強になります先輩!」
「で、その後は返答パートだけど、どう答えたのよ。」
「『名刺ください。くれたら教えます』」
「まぁ営業ならそんぐらいストレートな方がいいわな。」
「で、次はどんな?」
「先輩がたの名刺ください。くれたらやります。」
「強か~!」
「いいよいいよ!うちでやってくにはそんぐらいの度胸ないと!」
「くれますか?」
「じゃぁ初回ボーナスとして!」
「あ、俺も古いの一枚あるからやるよ。」
「でー。手に持ってる奴を取ってー。」
「俺らの奴渡したらー。」
「こちらがわにひきこんでたべます」
「……おっほwww大成功大成功。しっかり新人君も成れたでござんすなぁ~。」
「いやはや。トロめのサンドバック的人類に潜り込めれば雰囲気或る程度ごまかし効くとアドバってくれた同質に感謝しかないwwwwしっかり血肉にしてよかったでござんすwwwww」
「さーて『身体提供者』さん?確かこれで全員でござんすよな~。復讐。」
「あの押し入れの暗中であっし見つけてくれたのは感謝するでござんす。でもまぁ?あっしこう見えて江戸からの古株なもんででさぁ?」
「あんたのパワハラ相手喰らうだけじゃまぁ腹満たせないのでござんすよ。」
「幸い、あっしの存在伝播のミーム式はガンガン広がってでござんす。今日の神経耗弱新人も含めて、眷属もたぁくさん!」
「こうなったら、ああゆう無辜の人類繰って食って食いまくって、皆押し入れの中に引き込むでござんすよ!ね?そしたらもう一人で泣かなくて済むでござんすよ!」
「……あ?話と違う?なんも違わんでござんすよ?だってあの時、『居場所がここしかない。寂しい』と、確かにゆうたでござんしょ?」
「だからあそこを居場所にして、寂しくない方法と言えば、皆胃の中に入れて己のままにするのが最短経路でござんすから?」
「い~まさら聞いてないはないでござんしょ~。あんなに人類皆憎いみたいな、顔しといてさぁ!」
「だから、ずっとそこにいていいんでござんす。」
「のこりものはあっしがつかいたおしてくいつくすから、」
「ずっと、そのくらやみで――――――ってあれ。」
「なんであっし、空飛んでるでござんす?ああ、たいようが、まぶし」
「押し入れミームってさー。爆速で廃れたよね。なんでだろ。」
「あーあれ。実はリフォーム会社のステマって発覚したからでしょ。しかもかなりブラックな。」
「確かこないだも社員一人屋上から飛んで大けがだっけ?幸い意識はあるようだったらしいけど。」
「でもその社員、神経かなりやられてたみたいで、ずっと引きこもりだったんだよね?なんで会社の屋上なんかいたんだろ?」
「さあ?騒ぎ起こしての復讐目的じゃね?」
「それだったら自らの身を呈すとか、その勇気を別のとこに使えっつーの。」
「ほんとほんと、あ、そーいやさ、これ見た?例のミーム。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます