第2話 コールセンターにおける超越存在との通話と解決
「はいこちら人外お悩み相談室。お困りの事は何ですか?」
「実は……愛してる人間の事なんですが。」
「プッシュアンケートによると、行動と反応の相違、つまり自分は愛しているはずなのに人間ちゃんが愛を受け取ってくれないとかそういう感じですね?」
「まさにその通りです。僕が護って守って怖くて危ないものから遠ざけて邪魔する人や危険な人を皆いなくしても、人間がどんどん無表情になって、僕とお話してくれないんです。」
「あー。それはよくある『価値観の相違』ですねー。人間ちゃんは自分の価値観を変えにくい種類ですので、こちらとの解離が大きいと嫌悪とか拒絶でいっぱいになってしまうんですよねー。そうなるとこっちがいくら行動しても何も受け入れてくれません。人間ちゃんの事は毎日しっかりと観察してますかー?」
「はい。人間の棲家であり私の体であるの山の中は自由にさせて息抜きもさせてます。気になる動きといえば、最近私の心臓部の一つである神木を破壊しようと人間が計画していることですね。自分としては深くまで入ってくれるのはうれしいのですが、流石にあれ破壊されると無事じゃすまないんですよねー。」
「でしたら、神木のダミーを人の形に見せるようにはできますか?」
「できます!何なら人間とはその姿で接していますよ。本当の現身だとケガさせちゃいますから。」
「それは朗報です。だとしたら、まずはそのダミーを思いっきり破壊させましょう!」
「ええっ!でもそれやっちゃうと人間は僕を破壊しちゃったから満足していなくなるのでは?」
「ですからダミーを使うのです!まず、人間さんをいかにも本体がいそうな中心部におびき寄せて。」
「うんうん」
「軽く悪いこと言ってバトルして『こんなにも愛しているのに』とか軽く愛の言葉も吐いちゃうんですよ。」
「本心も混ぜればいいんですね!」
「で、ここからが肝要で、ダミーの強度は強くして、衰弱してもなかなか消えないようにするんですよ。」
「ふむふむ」
「そうすれば人間ちゃんは怒りに任せて貴方のダミーをめった刺しにしてきます。あ、この時少しあなたも憑依するのおすすめです!なかなか気持ちいいですよ!」
「う、少し滾って来たヨ。それでそれで。」
「そうしたら最初は怒りや憎しみに染まっていた人間ちゃんに変化があるはずです。まーだいたい恐怖反応見せますね。」
「怖がる人間かわいそう。すぐに慰めたりした方がいいですか?」
「とんでもない!そうなるとまた怒りが再燃して時間かかりますよ!恐怖が見え始めるとだんだん人間ちゃんは疲れて動けなくなっていきます。そしたらその動かなくなってきた部分を」
「ごくり」
「そっと優しく撫でてあげればいいのです。」
「なでる……撫でる!難しいから最初に覚えた人間の行動だ!これって、抱きしめるもひょっとして必要ですか?」
「ぴんぽーん!大正解!撫でて大人しくなったらそっと抱きしめて。『こわくないんだよ』と優しく教えてあげればいいんです!」
「この時、空間には人間が気持ち良くなる葉っぱとかたいておいた方がいいですか?あれやりすぎると人間の体動かなくなっちゃって……」
「この状態になるまで中心部にいると、人間ちゃんもこちら側に近くなるので少し濃い目でも大丈夫ですよ!」
「あ、でも人間の動きが止まらなかったらどうすればいいんですか?」
「なるほど、目的と手段が入れ替わっちゃった場合ですね?そちらの方が簡単ですよ?楽しそうに笑う人間ちゃんにこうささやけばいいんです『ぼくならいっしょうこわせるよ』って!」
「すごい!大変参考になりました!さっそく人間にやってきます!ありがとうございました!」
「はい、貴方の愛が十全に伝わるようお祈りしていますね!こちら人外お悩み相談センターでした~。」
【人外お悩み相談センターでは、あなたの悩みを募集しております。人間の攫い方から、愛の育み方、寿命揃えの方法まで。もちろん愚痴やお惚気だけでも大歓迎!あなたのニーズに合わせた答えを一緒に考えましょう!】
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