第9話 VS護衛たち
︎︎友晴や雅人もやってきた後、お嬢様達が恋バナをし始めた。俺たち護衛は気まずいので訓練所で男と男の勝負でもするとしよう。
「俺は護衛じゃないからパスしとくわ。そっち三人で実力を高めあっておいてくれ、俺はイブのところ行ってくるから」
「よくお嬢様三人が恋バナしてるところに割り込んでいけるなお前。もしかしたらお前と事が好きなやつがいるかもしれないぞ?」
「他のお嬢様とは初対面だし、イブに限って誰かを好きになるようなことは無いな。イブは今でも政略結婚があると思ってる頭の硬いやつだからな」
︎︎別に貴族っていうわけじゃないんだけどだし、そもそもこの日本っていう国じゃ自分で相手を決めれる。そもそも政略結婚だとか言うのって普通は親の方じゃないかな? お嬢様の親、当主様と奥様はまだ一回も見た事ないけどそういうことを言う人なのだろうか。
︎︎優羽はお嬢様たちの方へ行ったのでとりあえず三人でやり合うとしよう。柊さんが俺の事ガン見してる……もしかして俺が一人でやれと?
「ルールはそうだな、俺がいつもやってる試験と同じでいいか。五月雨君は二人の攻撃を一分間避け切れば勝ち、他の二人は当てれば勝ちだ。もちろん五月雨君も攻撃していいぞ」
「どれだけ優秀だとしても、二人の攻撃を避け切るのは無理なんじゃないかな? それに、君は新参者だよね?」
︎︎あーあ、もう完全に二人ともやる気だよ。まぁでも護衛として過ごしてたらいつか一人で大人数を相手にしないといけない日が来るかもしれないし、いい経験だと思って頑張るか。
「あー怪我させたらすまんな」
「元々怪我するような仕事だし構わないさ。バックドロップを決めた時から気になってたんだよな、どれだけの実力か」
「それじゃあ始めるとしよう」
︎︎タイマーの音がなって直ぐに俺は二人から距離を取った、普通に近づいたら後ろからやられるしな。そもそも相手の方が人数有利なんだし正面からやり合うのは普通に間違ってる。
︎︎今回のルール的には逃げるだけでいいが、実際はそうはいかないだろうしこっちからも手を出させてもらうとしよう。
「全然当たらない、けどお嬢様は避けてるだけじゃ救えないよ?」
「タイミングを伺わないともう一人が後ろからやりに来るだろ。なんだ、そこまで俺のパンチをくらいたいのか?」
︎︎大きく振りかぶったところで当たりはしないし隙ができすぎる。だから俺が選ぶのは……。
「おらよっ!!」
「グブゥ……!?」
︎︎ワンインチパンチ、当たりどころが良ければ一撃で仕留めることが出来る。ワンインチパンチを見たことの無いやつ相手なら尚更だ。
「さーて、これで友晴はダウンだ。雅人、一騎打ちだがどうする?」
「あのパンチ見てお前とやりたいと思うやつ居んのか? 友晴が一撃でくたばる威力なんかくらいたくないわ。友晴がやられてる間に俺もやろうかも思ったけど隙が無さすぎるんだわ」
「まぁ終わりだな、それじゃあ戻るか。五月雨君、後で俺も食らってみていいか?」
「あぁ……いいですよ」
︎︎自分の耐久性を図るためだと思うけどさ、発言的にドM。
︎︎完全にくたばっちゃった友晴を担いでお嬢様の部屋に戻ると、お嬢様が顔真っ赤にしながら優羽に膝枕されてた。何がどうなったらこうなるのか分からないがおそらく紗良さんのせい。
「五月雨さん、今見ていることは忘れるように。いいですね? いいですね!?」
「そんなこと言われても忘れられないですって。だってお嬢様、優羽に膝枕されて満更でもないですよね? もはや嬉しそうじゃないですか」
「給料下げますよ?」
「横暴だ!」
︎︎まだ一回も給料は貰ったことないけど、そもそも貰えるだけで十分なのである。というか護衛ってどういう給料方式なんだろうな……お嬢様の気分次第とかないよね? 無くならなければいいけど。
「それより、さっきから私ばかりに聞いていますが御二方はどうなんですか? 特に紗良です」
「そ、それはここで話すことじゃないよ。恵はどうなの?」
「うちはそういう人いないよ。それより、今の紗良は怪しかった」
︎︎お嬢様が勢いよく起き上がってそのまま優羽の顎を強打してから藍沢さんと一緒に紗良さんの方に詰め寄っていく。どんまい優羽、多分当たったことにすら気づいてない。
「それで、紗良は誰のことが好きなのですか? もしかして五月雨さんだったり……。でもダメです五月雨さんは護衛なんですから、恋愛とは無縁でないと」
「護衛だとしても恋愛ぐらいさせてくださいよ……。ダメって言うのならお嬢様が俺と付き合ってくれるんですか?」
「そんなわけないでしょう、私にはもう好きな人が居るので」
︎︎多分だけど優羽だな。普通の女の子は男に膝枕されるのを許さないと思うし、お嬢様は嬉しそうにしてたから優羽が最有力候補である。
「紗良お嬢様、今は昔みたいな古臭い考えもないですし、好きな人と付き合えばいいんですよ? それとも……」
︎︎友晴は紗良さんに何かを言ったが耳打ちだったので俺達には聞こえなかった。
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