第20話 ダークエルフは悪い子?

何回目だこの展開。何回私の眠りを妨げればいいの?いやまじで。

流石に慣れてきた。

状況はよくわかんないけどとりあえず頭を押さえつけられてナイフを目の前に

突き刺されてるのはわかった。


結構やばいかこの状況。


怒りに我を忘れそうになったが冷静になってみるとかなりやばい事態に陥っていることがわかる。わざわざ寝てるとこを殺さず人用のナイフを使っているとこをみると、モンスターではないし、盗賊だろうか。

男は殺され女は身ぐるみを剥がれて犯される。

アルマはもう死んじゃったかな。

可哀想なアルマ、男であるばっかりに。


とか考えてる場合じゃない。

私が泣こうが喚こうが暴れようがそれはなんの意味もない。

では私のやるべきこととはなんだろうか。

『ASMR』だ。


『まだ起きてるの坊や』

『良い子は寝る時間よ』

『・・・一人じゃ眠れない?仕方がないわね。一緒に寝てあげるわ』

『子守唄を歌ってほしい?』

『わかったわ。その代わりちゃんといい子にして寝るのよ』

『ねんねん ころりよ おころりよ』

『ぼうやは良い子だ ねんねしな』


頭を押さえつけていた力が抜けてくると同時にどさっと倒れる音がする。

すぐさま体を起こしナイフをひろう。

そして逆に寝てしまった盗賊の首元に当てて他にいるであろう仲間へと見せつける。

がどうやら必要なかったらしい。

眠ってしまった仲間に動揺した隙にアルマが自分を押さえつけていた盗賊を

素手で気絶させ他二人を救出していた。

エルフのおじさんには勝てなかったがやっぱりアルマは強い。


合計四人の盗賊を縛り上げ光を灯すと奇妙なことに気がついた。

耳が尖っている。

エルフのように。しかしエルフと違う点がいくつかある。

まず肌と髪が黒い。エルフのおじさんがそうだったがエルフは金髪で色白のはずだ。

あとこの人たちはナイフを使っている。おじさんがいうにはエルフは金属を扱わないらしい。

「ダークエルフですわね」

ローズが説明する。


「ダークエルフはエルフとは違って色が黒いとされてますの。その理由としてはやたらめったらにモンスターや人間を殺したり、不浄なことをたくさん行うからだそうですの」

「へぇーじゃあ私たちのことも殺そうとしたのかな、もしくは強盗とか?」

「そ、れ、は、ちがう」

「あっ目を覚ましたよ」

アルマに気絶させられていたダークエルフが目を覚まし、苦悶の表情を浮かべながら言葉を紡ぐ。

「我々ダークエルフの、色が黒いのは光と、大地、から生まれたからだ。決して貴様たちのように、盗賊働きをしたからではない」

「盗賊働き?」

「そうだ。貴様らは森の富を奪っただろう」

「森の富?なんのこと?」

「薬草のことじゃね?」

ダークエルフが頷く。

「でも薬草はエルフの方に許可をもらって取りましたわ」

「そんなわけない。エルフが人間と話すはずがない。貴様は嘘をついている」

「「そうだそうだ」」

目を覚ましたのか会話に他のダークエルフも参加してくる。

「お前もなんか言ってやれ。クロエ」

クロエと呼ばれたダークエルフはまだぐっすりと眠っている。

私のASMRを舐めてもらっちゃ困ります奥様。

どんな不眠症の方だって一瞬で寝かしてしまう。睡眠薬以上のASMRですよ。

これ以上のASMRは他にはございません。

でもこれだけすごいとお高いんでしょ?

奥様ご安心ください。なんとこのASMRはタダ。タダなんです!!

まあ素敵!

というかクロエ?えらい日本風な名前だな。


いつまで経ってもクロエは起きないし、盗んだ盗んでないの話し合いも

平行線のままなので朝を待ってエルフのおじさんに会いにいくこととなった。

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誰の耳元でもささやける私は異世界で神となった。 @baibaisan

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