第18話 神殿あさり

中は一寸先も見えないような暗さだったがあらかじめ用意しておいた

松明に火をつけて周りを照らす。

今にも何か襲いかかってきそうだった暗闇だったので光をつける時ドキドキしていたが森と同様、何もいなかった。


神殿の広さは1回り小さい体育館ぐらいで数時間もあればすべて調べることができそうだった。

ここから打ち合わせ通りに二人に別れて何かないか物色する。

シスターがあるとしたら宝石類と言っていたので入念に壁や床、机を光で照らす。

何かあれば反射するはずなので目をよく凝らす。


うーん何もない。

驚くほど何もない。モンスターは出てきて欲しくないが宝石は出てきて欲しかった。

壁や床はもちろんのこと、儀式に必要なものを置くであろう机にも何もない。

撤退した時に全部持ち帰ったんだろうか。というかそう考える方が自然である。

そう考えるとドット疲れが吹き出してくる。無駄足だったのかな〜。

宝石でなくても貴重な本とかがないかと神殿の奥に足をむける。


ここはそもそも神殿なのか?奥に行くにつれてそんな疑問が湧いてくる。

神殿というと奥に重要な人がいる壇だったりがあると思うのだがそう言ったものがない。どちらかというと端から中央に向くように作られている気がする。

そう思い中央へ向かうと他の三人も同じように思ったようで中央で合流することになった。

「そっちは何かあった?」

「何もありませんでしたわ」

「俺も」

「何かしらはあると思ったんだけどな」

教会について一番知識のあるシスターがため息をこぼす。

それに釣られる私たち。

「なにもないのは予想外でしたがまだやるべきことがありますの」

「それは?」

「薬草取りですの」

「それがあったわ!」

落ち込んでいたシスターの活気が戻る。

「なら日が落ちる前にちゃっちゃと探しに行こうぜ」

「おー!」


目的を神殿漁りから薬草とりにし、出口に向かおうとした時

ギーとドアが開く。


緊張が走る。


出入り口にいるのは影から推測するに人型。

ゴブリンやオークの類だろうか。

アルマが森で拾った木の棒を扉の方に向け私たちの前に立つ。

すぐに私もその場に座りいつでもASMRができるように集中の体勢に入る。


今回チームを組んだのが初めてであることを思わせないほど四人の連携は

スムーズに行われた。


あとは相手がどう出るか。

松明の熱気がほおに当たり汗が出る。

暑いな。


汗をぬぐった瞬間松明の火が一斉に消える。

「後だ!!」

アルマの声に反応して後を振り向こうとしたが身動きが取れない。

唯一動く眼球で動けない理由を探る。


ツタだ。

神殿の床の隙間からツタが伸びて体に巻きついている。

助けてもらおうとみんなの方を見ると三人も同じようにツタに巻き付かれていた。

唯一アルマだけ引きちぎろうともがいていたがすぐに床に押し倒されもがくこともできなくされられてしまった。


もはやこれまで。

辞世の句を読むにも何にも浮かんでこない。

どうにかこうにか知識を捻り出そうとしていると

上から

「もしかして君たち人間!?」

と声をかけられる。


当たり前だろ。そこまでブスじゃない。

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