第17話 エルフの森
目的地に辿り着く。
エルフの森。名前からして神秘的で綺麗な森なんだろうなと思っていたが
全然そんなことはなく。ただのでかい森だった。
ただの森と違う点があるとするなら”でかい”森というところだろう。
とてつもなく広大な森だ。うっそうと木が生い茂っており奥を見通すことができない。誰かが入るのを拒んでるようにも見える。
もちろんそんなことはお構いなしに私たちは森の奥地へと向かった。
迫り来るモンスターや植物、私たちはそれらを相手にしながら神殿へと向かった。
と言いたいところではあるが不気味なくらい何もいない。
ところどころ小動物の姿は見えるがそれだけだった。
馬鹿でかいグリズリーも人を食らう植物も何もいない。
拍子抜けなほどだった。
ぶっちゃけ先日戦って疲れてたし何も出てこないことに私は神に感謝してたが
他の血の気の多いみなさんは不満げな様子だった。
そんなこんなで危なげなく真の目的地に辿り着くことができた。
神殿だ。
人工のものが一切ない中でそれは異質な雰囲気を放っていた。
「やっとついた〜」
目標達成の喜びで杖の代わりにしていた棒を投げながらその場にへたり込んでしまう。
「うちの神殿って言ってもかなり昔のらしいから見た目が違うのも当たり前か」
「ドラゴンとか出てきたらいいな〜」
「ドラゴンがいたらこの森は全部焼け野原ですの」
それぞれ何か言いながら三人は私をおいて神殿の近くに行ってしまった。
「待ってよ〜」
置いていかれると死を待つばかりになってしまう私は急いで棒を拾いヨタヨタと
みんなの後についていく。
実際に近づいて見てみると昔のものにしてはかなり綺麗に見える。
神殿は全体的に石造りだがカビが生えたりしてないし特別な建材を使ったり
したのだろうか。
ピラミッドを知っている私からすればまあこんなものもあるかといった感じだが
他の三人はどうやってこんな場所に作ったのかなど疑問が果てないようだった。
そういえば、結局ピラミッドがどうやってできたのか知らないまま死んでしまったな。走馬灯的なやつでこの世の全てを教えてくれればピラミッドの謎もわかっただろうし、おそらく同様のものであるこの神殿のことで天才的推理をみんなに聞かせてあげることができたんだろうな。というか神殿に関する謎なら直接神本人に聞けばよかった。後悔が次から次へと出てくる。
終わりのないのが終わりである後悔のるつぼにハマっていた私をローズが肩を叩いて目覚めさせてくれた。起きたら美少女がいる。なんて幸せなんだろう。
「中に何があるかわかりませんわ。もしかしたら罠やモンスターがいるかもしれませんの。準備をきちんと整えていきますわよ」
「「「はーい」」」
リーダーの号令の元、手荷物の整理をする。途中ゴブリンの耳が出てきたので吐き気を催したがなんとか飲み込むことができた。
そして準備が終わると私たちは神殿の扉を開けて中へと進んだ。
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