第14話 あなたは何キロ歩ける?
エルフの森にあるという神殿に向かってはや二日。
精神は限界を迎えていた。
風呂に入らず超長距離移動。
食料は手持ちの少量分しか食べれておらず
周りが平原の中いつモンスターに襲われるかわからないという
ストレスのせいか睡眠も満足ではない。
最初のうちは楽しかったが今ではもう帰りたい気持ちでいっぱいだった。
旅か修行かわからないほど辛いが不思議と言い争いなどは起きていなかった。
何かうまくいかなかった時、チーム内では誰のせいにするのかといった罵り合いが起きてもおかしくはないが現在最初の頃と違うのは私が疲れのあまり無口になっていることだけだ。
なんで。おかしくない?
もちろんチームの雰囲気が悪くならないのは良いことだが
まるで散歩をしているかのような談笑が起きている。
こっちはヘトヘトで今すぐにでも座り込んでしまいそうなのにも関わらず。
誰も不満を持たない理由を眠れない頭で考えて整理してみると
あることがわかった。
私が雑魚なのだ。
ローズはおそらくこの日のために訓練を自主的にしてきている。
宝石よりも美しい顔で美しスタイル。この世界において特にスタイルをどうやって
維持してきているのか気になっていたが、計画していた今回の旅のために積み重ねた努力の副産物だったのだろう。女性らしい体つきをしているが腹筋が割れていた。
勝手にお嬢様系だと思っていたが実は女戦士だったのだ。剣は使わないけど。
アルマこいつは筋肉ばか。
ただそれだけ。夜になって野宿の準備を周りがしている中逆立ちしながら腕立て伏せをやってた。普通体力温存とかするんじゃないの?自分から警戒を買って出るのはありがたいけど夜中に筋トレをしたいだけでしょ。
シスターも別の意味で異次元。
まず食料をほとんど食べていない。ヤンキーだから我慢強いとかそういう域を超えてる。そしてアルマ同様寝てない。寝付きの悪い私より遅く寝て早く起きてる。
自分もきついはずなのに私の面倒も見てくれる。めちゃくちゃ優しい。好き。
はいわかりました。
私が雑魚です。クソ雑魚です。足手まといです。無理矢理にでも帰ればよかった。
周りに迷惑かけちゃってるし。というか今すぐにでも帰りたい。そう言いたいけど
それもわがままだし言えるわけないし。もし一人で帰らされることにでもなったら
そのまま倒れて死んじゃいそう。
ぐだぐだと後悔をしながら今日の野宿の準備を手伝う。
3回目の準備ということもありちょっとずつ慣れてきた。
途中でくんでおいた水を器の中に入れ乾パン的なものをふやかす。
それをみんなに配った後自分もありつくがなかなか喉を通らない。
柔らかくなってるし十分飲み込めるはずなのだがうまく飲み込めない。
一昨日までの私なら泣き言の一つや二つを吐いただろうが今の私はプロだ。
喉元付近にあるパンを十分冷ましたぬるま湯で一気に流し込む。
これが三日目で私がたどり着いた方法だ。これしかない。
食わねば死ぬ。
食事が終わると私は明日のために就寝。
他三人と比べて劣っている私ができることは体力を回復して邪魔にならないことだ。
いつもなら横になったとしてもうまく眠れなかったが今日は
隣から聞こえる話し声が子守唄となってかすぐに眠りについた。
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