第12話 ダメー

「ダメです」

「ダメかーーー」

わかりきっていた問答とはいえここまでキッパリと言われてしまうと

落ち込んでしまう。


魔術学校。正確には魔術学部らしいがそこに入るにはお金がなかった。

というか王都までいく旅費すらない。

うちは一般家庭なのでほとんどそのひぐらし状態。貯金もない。

しかも母は私が成人したということもあり早く結婚をしてほしいという。

結婚。前世でできなかったこと。

今世ぐらいは素敵な王子様を見つけて幸せになりたい。

がおそらくそれは無理だろう。

家族で過ごすのが当たり前で女は嫁ぐものだという価値観はどうやらこちらの世界も変わらないらしい。

家事は手伝わされていたのである程度できるようになったけど

なんでもないことにケチつけられて叩かれたりするんだろうな。


そう考えるとローズの言っていた

「学問を収めて幸せになる」というのは正しいような気がする。

学問を学んで地位を獲得し、いい男にみそめられる。

どうせ叩かれるのなら札束がいいし。

最悪魔術を習えば返り討ちぐらいならできるんじゃないだろうか。


でもお金がなぁ。

努力でなんとかできるレベルの問題じゃないし。

というかローズは旅費とが学費とかどうするんだろう。

聞いてみよう。

そう思いたつと私は教えてもらったローズの家と向かった。

「スー!手伝いは!?」


「冒険者になろうと思っていますの」

「はぁ?」

「冒険者になれば魔術の力も付きますし、お金も手に入りますの。しかもゴールド級冒険者になることができれば入学試験と学費の免除もありますの」


へぇーすごいねってそれはむり。

冒険者は確かに世界共通の資格だしローズの言う通りなんだけど

あれってガラの悪い連中がなるものじゃなかったけ。モンスターと戦うどころか

同僚に殺されるかもしれない。


「それは難しいんじゃないかな?死んじゃうよ」

「大丈夫ですの。私たちならできますの」

確かに!!


「ダメです」

「ダメかーーー」

家事をサボった罰として掃除をしながら母に聞いてみたがダメだった。

「スー。隣のお子さんが冒険者になって死んじゃったの知ってるでしょ?そんな危険なことあなたにさせれません」

まぁですよね。

勉強しに行くのが無理なのにモンスター殺しに行くのなんてもっと無理。

剣は重くてモテないし魔術も使えない。

荷物持ちがギリギリできるぐらいだ。

「でもさー依頼にもいろいろあるらしいし、薬草とりとか。簡単なやつでお金を稼ぐからさそれでもだめ?」

「ダメです」

ダメー。

他の代案が出ないのでしょうがない。ローズに断りに行くか。


翌日の朝ローズと待ち合わせをした場所に向かうとそこにはローズの他に

アルマとシスターがいた。


「さあみなさん揃いましたわね。出発しますの」

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