第11話 二次会

シスターに肩を組まれながら壇上からおり母の元へ戻ると

先ほどの行動に対して多少怒られはしたが理解はしていくれているようで

お説教は短く終わった。


成人の儀が終わり教会の人たちや保護者は解散したが、

今回成人となった9名はその場に残り2次会をすることとなった。

2次会を行うにあたって自己紹介をそれぞれした。

何人かしか名前を知らなかったが他のメンバーの名前を知ることもできた。


今もなお動物に囲まれ私たちと会話はそこそこに戯れているのはグレハン。

とても穏やかでどこか惹きつけられる魅力を兼ね備えている。

私たち奇跡の世代全員が何かしら恩恵を持っていると仮定するのならば

彼はおそらく動物と会話ができるのだろう。動物によく話しかけているが

それはしつけによるものや一方的なもの出ない気がする。明らかに意思疎通が図れているように見える。


アシュラと互角の戦いをしていたのはアルマ。

彼は剣術の恩恵だろうか?そうでないとあの戦いは説明できない。

しかしよく聞くと普段からかなりの鍛錬をしているそうで恩恵ありきのものかは

判別がつかない。彼の口から出た鍛錬はあまりにハードなので嘘のようにも聞こえるが彼のボロボロな服がそれを裏付けしている。まぁ新しい服を買うお金がないのも事実としてあるそうだが。


露出度の高い民族衣装を着ているのはニコ・ノエ。

ニコは自分が新興宗教のリーダーをやっていることを教えてくれた。

本来なら今回の成人の儀を受けたくはなかったそうだが諸事情により

出ることになったらしい。新興宗教と聞くと胡散臭いと思ってしまうのは前世の記憶あってのことなのかと思っていたが周りも同様の反応だったのでやはり変らしい。

しかし彼女の宗教を変と思いつつ私のASMRによる神のお告げを疑問に思わないのは私の手腕によるものなのだろうか。


一番大きなおっぱいを抱えてローブをまとっているのは巨乳というらしい。

間違えた。

一番大きなおっぱいを抱えてローブをまとっているのはダイナ・クリスタル。

なぜか一生懸命話しかけてきてくれたが正直何も覚えていない。

嫉妬とかではないと思う。なんというのか違う。違う。

よくわからない。よくわからないけど手はまっすぐダイナの胸に伸びた。

彼女の顔は硬直していたがかまわなかった。


坊っちゃんの名前は長くてロン・アリユル・マホロバ。

平民ではなくこの街の豪商の息子らしい。少なくとも綺麗な服を複数枚持つことができるほどのお金持ちらしい。ここまで金持ちだと顔ぐらい見たことがありそうだが少なくとも私は見たことがなかった。お父さんの方はお祭りなどで何度か見たことがあったが。

その疑問には彼自身が答えてくれた。

「魔術研究をしてたんだよずっと屋敷でね」

「引きこもりってことか?」

「違う!!研究だ!研究すら知らないのかい君は」

アルマが売った喧嘩をロンが買う。

彼らはどうやら馬が合わないらしい。先ほどからというより最初から衝突を繰り返している。筋肉とインテリだからだろうか。

どちらも自分の好きなことに熱心というところはとても似ていると思うのだが。


そんな喧騒にはよそに、こちらはこちらで会話を再開する。

「そういえばスー?あなたは王都の魔術学校をご存知ですの?」

「魔術学校?」

「その名の通り魔術を学習することのできる場所ですの」

「それがどうかしたの?」

「よかったら一緒に入学致しません?」


魔術学校に?そんなところに行ってどうするのだろう。

もちろん魔術を学ぶのだろうけど学んだところで何に使うのだろうか?


「魔術・・イエ学問の総合学校なのですけど一度学舎に入って良い成績を

収めることができればより裕福な生活を望むことができますの」

「うーん面白そうだけど勉強かー」

ローズは読み書きができるようなのでスムーズに勉強ができるかもしれないが

私はまずそこからだ。それに勉強自体苦手じゃないけどそんなに好きじゃない。

「君たちには無理だよ」

いつから聞いていたのかロンが口を挟む。

「魔術学部は確かに他の学校と違って実力主義的な部分もあるし即物的な面もある。けど君たち程度の才能じゃどれほど努力したって無理だよ。入ってすぐに現実を知って退学さ。この僕のように才能がないとね」

「じゃあなんでアシュラとかいうやつとは戦わなかったんだよ」

後からアルマのチャチャが入る。

「この僕が戦うまでもない。そう思ったまでさ」

えらい自信満々だが私たちと同様腰が抜けて見えたのだが。

「というか君たち。魔術学部にはいるとしてお金はどうするの?」

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