第8話 あ〜あ出しちゃった❤️

「あっああのこれ使ってください!!」

壁のそばにいた爆乳が倒れていた兵から取った剣を両手で

男へと放り投げる。そのまま爆乳は体勢を崩したのか前のめりに倒れるが

ぼいんとエアバックが作動する。


剣を受け取った男は鞘を投げ捨て剣先をそのままアシュラへと向けた。

剣を持ったからといってこの絶望的な状況は変わらないと思うが

男の表情はなぜか喜びに溢れていた。

「これで俺は無敵だ」

そう言い出すと同時に今度は自分からアシュラへと突っ込む。

避けて切る。

対するアシュラは受けて殴る。

その繰り返しだった。

しかし今目の前で起きている戦闘は先ほどまで恐怖を忘れさせるほどのものだった。


石畳を破壊し人体なら致命傷を負わせる、拳をかわし太刀を浴びせる。

常人なら失神してもおかしくない状況に男は笑っている。

何度も受ける刃にアシュラは押されているように見えたが

鋼鉄よりも硬い肌が一滴の出血を許していない。

お互いに譲らない戦いだ。


その光景を呆けて見ていると横からバスケットボールがぶつかってきた。

否それはバスケットボールではなくチチだった。

「ごごごごめんなさい!あっあの、おっおお恩恵を使ってください!」

突然言われた言葉に耳を疑った。

なんで恩恵を持っていることをこの爆乳女は知っているのだろう。

もしかして先ほどのイタズラで笑っていたのを見られたのだろうか?

ぐるぐると思考が回る。

「あっあの、は早くしないとみんなこ殺されちゃいます!!」

「一体なんの話ですの!?」

ローズも会話を聞いてしまったようだ。こちらに体を寄せてくる。

どうやら考えている暇はないようだ。

人に見られながらするのは初めてだけど

これに関してはこの世界はもとより前世でもかなりの経験があるので自信がある。


息をつき床に座る。

対象であるアシュラを思い浮かべて集中する。

一瞬のASMRであれば集中する必要はないが、アシュラに剣の刃が効かないのを見るにちょっとの時間稼ぎでは意味がない。

人の耳元にささやく時と同様手を口に当てる。

息を吸い恩恵を発動させる。

『ざぁこざぁこ❤️』

『4つもおててあるのに全然パンチ当たらないの恥ずかしくないのぉ❤️』

『カッコわる〜い❤️』


「ヴゔぁゔぉヴァあああ!!!!」

再び雄叫びをあげたアシュラの肌の色は灰色から怒気を表す赤褐色へと変貌する。

赤褐色に変貌した肌はそのまま熱をおび、周りに熱波を噴き出す。

「熱っ」

あまりの熱さに金属が熱をおび男は剣を落としてしまう。

「一体何が起きてるんですの!?」

「ちょっと黙ってて!!」

肩をつかんでふってくるローズの手を払いのけて再び集中の姿勢をとる。

そしてトドメの

『早くぜんぶ出しちゃぇ❤️』


その瞬間赤褐色の肌から勢いよく放出されていた熱波は止まり

アシュラはその場に倒れた。

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