第4章



総監「ジャンヌ..?」

 

ジャンヌを出せば変わるかもしれない。

そう思い 施設へ駆ける。階段を駆け上がり、施設の一番奥。ジャンヌが居る部屋へ向かいながら ジャンヌへ連絡する。

 

総監「ジャンヌ!今どこ!?」

ジャンヌ「えっ 総務と話が..」

総監「一旦中断してくれ!何か黒い鎧着た奴が来て!!」

ジャンヌ「あぁ...分かりました。」

 

通話が切れた。今まで来た道を逆戻りしながら考える。先程のジャンヌの心底嫌そうな声。そして黒い鎧。考えを張り巡らせていると 戦場に着いていた。その時。

 

ジャンヌ「執拗ぇんだよこのロ■■■■■■がぁっ!!」


ジャンヌの怒号が響き渡り 黒い鎧を着た男は槍で吹き飛ばされた。そして ジャンヌは此方に向かって来て やや涙ぐんで言った。

 

ジャンヌ「総監...私アイツ嫌いです。」

総監「そっか...何か関わりあるの?」

ジャンヌ「後でお話します。」

 

そして黒い鎧を着た男は立ち上がり 此方を睨んで来たが ジャンヌを見た瞬間 目付きが変わり ジャンヌを見つめた。

 

?「ジャンヌ...様...?」

ジャンヌ「黙れ。」

 

すると男は信玄に連れてかれた。ふと横を見るとナポレオンは壁にめり込んだまま放置され クロムウェルは頭から血を流している。

 

ナポレオン「総監...俺を引っ張り出してくれないか...?」

総監「ほい。」

 

引っ張り出す。身体を見るに 相当傷が深いようだ。

 

シェイクスピア「大丈夫ですか?クロムウェル。」

クロムウェル「ああ。大丈夫だ。少し...手を貸して欲しい。」

シェイクスピア「ええ。」

 

シェイクスピアはクロムウェルの手を握り クロムウェルは彼女に起こされる。

 

コロンブス「ヒュー。お熱いね。」

ダヴィンチ「また推しカプが一組増えちゃったよ...」

 

取り敢えず皆で医務室に行き 玄白とナイチンゲールから手当を受ける。

 

信玄「ジャンヌ...アイツ何だ..?」

ジャンヌ「...アイツ...私を神だと思ってるんです。」

謙信「...気持ち悪い。若い女を中年が女神と崇めるとは...」

ジャンヌ「本当に気持ち悪いですよ。『ジャンヌ様は神だ』 なんて言い始めて...」

 

ジャンヌの話を聞く限り あの男はもしかしなくともヤバイ奴だろう。なるべく早く尋問し、対処しなくてはならない。

 

総監「信玄, クロムウェル。アイツの尋問を頼める?」

信玄「勿論だ。」

ジャンヌ「私は...」

総監「ジャンヌは休んでて。」

ジャンヌ「...分かりました。」

 

2人は医務室を後にして 尋問室へ向かった。だが二人に任せる訳にはいかない。

 

総監「俺も行ってくるよ。」

家康「大丈夫か?アイツらだけでも充分じゃが...」

総監「念の為だよ。何かあってからじゃ遅いからね。」


足早に医務室を出て そのまま全速力で尋問室へ向かう。するとクロムウェルが扉を開けていた。


クロムウェル「此処だ。」

 

中に入ると手錠をかけられ椅子に縛られ 座っている あの男が居た。顔は俯き 此方を睨み付けている。

 

?「アンタが総監さんか...弱々しいな。」

 

男に嘲笑されるが 構わず問う。

 

総監「お前は誰だ?」

ジル「俺はジル・ド・レ。それが尋問か?随分頭の回らない奴だな。」

総監「この施設を襲撃した理由は?」

ジル「上からの命令だ。それにこの施設はジャンヌ様を攫っただろ?俺はジャンヌ様を救いに来たんだよ...さっさとジャンヌ様を渡せ!」

 

急に暴れるジル・ド・レを信玄が抑えた。そしてクロムウェルに囁かれる。

 

クロムウェル「なぁ...アイツ 本格的にヤバい奴だろ...」

総監「...うん。ジャンヌに異常な程 執着してるしね...」

ジル「離せ!離しやがれっ!!俺はジャンヌ様を救わなきゃいけないんだ!!」

 

すると急に静かになった。その時 扉が開く。

 

ジャンヌ「総監。この話は私が出ないと終わらないです。」

 

ジャンヌはジルの前に立ち こう言い放った。

 

ジャンヌ「ジル。私は攫われていないし この施設に罪は無い。むしろ私はあの施設から逃げ出した。施設から...執蕾から。分かったら この施設の皆を傷付けるのを止めて。」

ジル「ジャンヌ様...私は...間違っていたのですか..?」

ジャンヌ「周りを見れば分かるでしょう。」

 

ジャンヌは吐き捨てる様に言うと 踵を返した。

 

ジル「なぁ...俺はどうすれば...」

信玄「そうだな...取り敢えず働け。ただお前は根本的に間違っているからその矯正からだ。だろ?総監。」

総監「信玄の言う通り。総務に会いに行こう。」

 

ジルを執務室へ連れて行き 話を聞く事にした。


総務「成程な...総監。此方が対処する。お前達は休め。」

総監「分かりました。」

信玄「分かった。」

 

執務室を出て 食堂へ向かう事にした。先程の戦闘と朝食抜きのせいでかなり空腹だ。

 

総監「お腹減ったな...」

秀吉「おう総監じゃねぇか。どうした。昼飯か?」

総監「そうだよ。お腹減ってさ。」

秀吉「今なら皆食堂に集まってるぜ。」

ダヴィンチ「おっ居た居た。おーい総監!」

 

ダヴィンチが此方へ走って来た。

 

ダヴィンチ「ねぇ。あの『ジャンヌ推し過激派ロリコンおじさん』はどうなったの?」

秀吉「いきなりそんなパワーワードぶっ込まれても総監困るぞ。」

総監「アイツはジル・ド・レ。総務が対処してくれるって。」

秀吉「そうか。良かったな。」

ダヴィンチ「んじゃあお昼ご飯食べよ!お腹減った!」


食堂の扉を開け入ると 賑わいの声が聞こえた。皆が楽しそうに食事している。

 

秀吉「じゃあ俺はここで。」

ダヴィンチ「はいはーい。じゃあ一緒に食べない?総監。」

総監「そうしようか。」

 

二人で料理を取りに行く。するとダヴィンチがある事について話して来た。

 

ダヴィンチ「ねぇ総監。最近さ クロムウェル丸くなったと思わない?」

総監「そう?太ったかな?」

ダヴィンチ「違う違う。体系的な問題じゃ無くて。何かさ 紳士的と言うか...笑顔が増えたと言うか...英国紳士感増したよね。やっぱシェイクスピアと会って変わったのかな。」

 

ん?


総監「えっあの二人付き合ってるの..?」

ダヴィンチ「疑惑出てるよ。ほら さっきの戦いの後もクロムウェルとシェイクスピア二人で帰ってたしさ。それに手繋いでるのも

エリザベスが見たって。」

 

まさかそんな筈は...と思ったが 言われてみれば確かにクロムウェルの性格は丸くなったし 今も二人で食事をしている。あの二人の恋愛疑惑は、ほぼ確信に近付いている。

 

ダヴィンチ「まぁさ おめでたいよねって話!食べよ食べよ!お腹減ったよ!」

 

ダヴィンチに押され席に着く。そして二人で食事を開始した。

 

ダヴィンチ「ねぇ総監。あのさ 戦う事になる施設あるじゃん。あの施設さ、私 本気でぶっ潰したいんだよね。」

総監「ダヴィンチがそんなキレるなんて珍しいね。」

ダヴィンチ「いやさ...私 元々その施設に居たんだけど 私そこで虐め受けてさ。その主犯格が『ルイ14世』って奴なの。そいつの事...私は命賭けても殺したい訳。総監もさ...協力してくれる?あの施設ぶっ潰すの。」

 

ダヴィンチの目が本気だ。復讐に燃える復讐者の目。もちろんと言おうとした時。後ろから声がした。

 

バートリー「待てダヴィンチ。その計画...我も協力しよう。」

エリザベス1世「私も。ルイは私達も嫌いだからね。」

 

バートリーとエリザベスがダヴィンチに賛同した。そして二人は此方を見て言う。

 

バートリー「総監。お前は向こうの総監の相手をしろ。」

エリザベス「ルイ達の事は私達に任せて。大丈夫だから。」

総監「分かった。皆...ありがとう。」

 

そう言うと二人は頷き去った。流石女王。頼りになる。

 

ダヴィンチ「無茶な事言っちゃってごめんね..?総監...。」

総監「良いよ良いよ。ダヴィンチには普段から世話になってるからさ。」

 

彼女の綺麗な茶髪を撫でる。そうしながら昼食を済ませ 自室へ戻った。そろそろ本格的に動きそうだ。



__________第4章 完。

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紡ぐ者達よ。 ヤトミ @Yatomi369396

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