4店目「宿屋自慢のキャベジッシュ包み」

こんにちは!一人でもスイーツを食べに行くトラ顔紳士です。

本日やってきたのは、コスパが高いことでも有名な宿屋【癒しの風亭】です。


この宿屋で提供される料理が家庭的で美味しいと、密かに人気を集めていますね。

ちなみに宿泊せずとも食べられるので、食堂代わりに昼食や夕食に訪れる人も多いようです。

宿泊ならメニューは決まっているのですが、食堂のみ利用なら好きな料理を注文できるのでおすすめですよ。


お店はテーブルが十台。一つの机に椅子が四脚ずつ設置されています。

それぞれのテーブルには白のテーブルクロスがかけられており、その上には可愛い装飾が付いた燭台が置かれています。

小型のシャンデリアがいくつも吊るされ、お店の規模の割には随分と明るく感じますね。

ただ、あまりお店自体は広くないので、大勢のお客さんが来るとかなり混雑するようです。

本日も大盛況。

給仕さんが忙しくフロアをまわっています。


メニューは意外にも多く、なんと五十種類以上。

家庭的なものから、手の込んだ料理、お酒のアテまで様々です。

飲み物も豊富で、エールだけでも五種類もあります。

ちょっとしたレストラン並みの品揃え。

人気の理由がこれだけでもわかりますよね。


料理にはセットを頼むとパンとスープが付くようです。

最近では多くの店でセットが提供されていますが、ウメーディでセットを導入したのはこの店からだったのです。

こんなところからも歴史を感じますね。


本日頼んだのはお店の看板メニュー


・キャベジッシュ包み 一銀貨+二銀貨

・ブドンの葉巻き

・パン

・スープ


メインにぱんとスープがついて、この値段は安すぎませんか?

しかも昼ではなく、晩御飯の料金ですよ!


どうやら新人の冒険者たちにも満足してもらおうと、料金はずっと変更していないようです。

しかも時々少し量を増やしてくれたりしているようですね。

そのため、冒険者として有名になってもこの店に来る人も多いのだとか。

お店に来るだけでも温かい気持ちになれそうです。


早速、セットのパンとスープが運ばれてきました。

自家製のパンは、黒っぽいというより黒光りする金属のような艶があります。

まだ焼き立てということで、うっすら湯気が立ち上っていますね。


スープには具は入っておらず、動物系の出汁の香りがしています。

スープ単体で飲むというより、パンを浸して柔らかくする為に使われるようですね。


それでは早速パンから食べてみましょう!

あれっ?硬い……!?

ちぎって食べれるものかと思いきや、全くへこませることすら出来ません。


どうやらこのパンには小麦の他に、爆硬麦を使用しているとのことです。

爆硬麦は小麦の変異種の一つで、黒い穂と固くてしっかりした茎が特徴です。

通常の小麦の生育過程とは異なり、限界まで水分を抑えて育てるのだそうです。

自然の生命力で自らの体で生命維持に必要な成分を作り出し、十分過ぎる栄養素を蓄えるとのことです。

そのため爆硬麦を加えると、少量でも濃縮した味わいになるようですね。


ただ、爆硬麦を加えると素材が硬くなり過ぎることが難点。

具財が金属のように硬くなり、黒光りすることからメタル麦とも呼ばれています。


実はこの爆硬麦は水分を加えると成分が変質し、柔らかく、食べやすくなる性質を持っています。

そのため、爆硬麦を使ったパンにはスープが必須。

スープに浸すと、スープの旨味をしっかりと吸収してくれるようです。


パンは手で千切って食べることは出来ないので、しっかり研がれたナイフとフォークは必需品。

これらをうまく使うことで、このパンを美味しく食べることが出来るようです。


たかがパンと高を括っていたのですが、かなり奥深いパンでした。


このパンが実に旨い!

小麦の味わいをしっかりと感じ、苦み・酸味・甘味のバランスがちょうどいいです。

スープに浸す前は金属並みに硬いパンですが、スープに浸すと驚くほど柔らかくなりましたね。

今まで食べたパンよりも濃厚で、一口食べるとまた一口欲しくなりますね。


スープはうっすら黄金色に輝く透明色。

具材は入っておらず、スープのみが器に入っています。

一口飲んでみると、動物系の風味がしっかりと効いた深い味わいがあります。


しかもパンに浸すとその旨味が倍増。

パンの甘みとスープのコクが見事に一体となっています。

このパンとスープだけでも、このお店に来る価値はありますね。


実はこのスープに「オークタウロスの肉」を使っているとのことです。

オークとミノタウロスのかけ合わせたものらしくて、最近市場でも見かけることの少なくなった貴重な食材です。


店主が独自のコネで安く仕入れているようですが、一体どんなコネを持っているのでしょうか?

パンとスープにこだわり過ぎのような気がするのは、僕だけではないはず!


パンを食べていると、お待ちかねの「キャベジッシュ包み」と「ブドンの葉巻き」がやってきました。


「キャベジッシュ包み」はキャベジッシュの葉に肉を巻いてスープで煮たもの。

「ブドンの葉巻き」は、ブドンの葉に豆と野菜のペーストを包んで蒸したものです。

ウメーディでもよく見かける郷土料理ですが、そこはこだわりの主人。

様々な趣向を凝らしているようですね。


ナイフを入れると部屋に充満するほどの香りのシャワー。

オリエンタルな食欲を誘う香りが、ナイフの切っ先から溢れてきました。

キャベジッシュに包まれているのは、厚めの塊肉。

ホロホロになるまで煮込まれた肉は、噛む必要も無いくらいに柔らかいです。

通常この料理では、ミンチを使用するようですが、塊肉を入れるのは店主のオリジナルです。

肉から出る旨味と、香辛料の香りがキャベツの中から溢れてきました。

この肉はオークのお尻の肉だそうです。

タンシチューのような濃厚な味付けですが、キャベジッシュの甘みでマイルドになっています。

香辛料の量も半端なく使用しているようです。

中を見るとキャベジッシュの葉にたっぷりの香辛料が塗り込んでありました。

これは単にキャベジッシュで包んだだけの料理ではありません。

キャベジッシュで包むことで、その味わいを何倍にも高めているようです!


今度は「ブドンの葉巻」も食べてみましょう。

ナイフを入れると、とろりと白いペーストが漏れ出してきます。

豆と野菜をすり潰して合わせたものですが、これが甘くて優しい味わい。

ブドンの葉のほろ苦さと、かかっている自家製ソースのピリッとした味わいがクセになりそうですね。


食後に自家製のハーブティまで用意してくれましたよ。

自宅にいるようにアットホームな良いお店でした。


店名:宿屋兼食堂「癒しの風亭」

予算:一銀貨~三銀貨

店の雰囲気 ★★★★★

店員の対応 ★★★★☆

料理の味  ★★★★★

コスパ   ★★★★☆

バラエティ ★★★★☆

総合評価  ★★★★☆


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