本編3 羽衣の松
坂を登り切ると、松林に来てしまった。
「木の柵に囲まれている松の木があるでしょ。あれが羽衣の松。羽衣伝説で天女様が羽衣を掛けた松なのよ。この松は御穂神社のご神木でもあるのよ」
「ふうん。それで、ナナちゃんのお家はどこなの? 周りは松の木ばっかりよ」
「もっと先よ」
「でも、羽衣の松の向こうは砂浜。その先は海よ」
「あたしのお家は常世の国にあるの」
「常世の国? どんなところなの」
「神様が住んでいるの場所よ。年を取った人は若返るし、病気をした人もすっかり元気になるの。お父さんは会社が倒産してからずいぶん落ち込んでいたたけど、今は元気。お母さんといつも笑い合っているわ。毎日天女さんがきれいな舞を見せてくれるし、天国みたいなところ。
メイちゃんがお参りした御穂神社の神様も、普段は常世の国に住んでいるの。二月の筒粥祭の時は羽衣の松に降りたって、さっきナナちゃんが歩いてきた神の道を通って御穂神社に鎮座するのよ」
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