本編1 御穂神社

 ナナちゃんから電話があったのは昨日の夜でした。

「メイちゃん、御穂神社に来てほしいの」


 メイちゃんはあたしのいちばんのお友達。

 でも、先月にいなくなっちゃった。

 急に、学校へ来なくなっちゃったんだ。


 担任の田中先生がお家に行ったけど、誰もいなかったみたい。

 お母さんの話だと、ナナちゃんのお父さんの会社が倒産したから、逃げちゃったんじゃないかって。


 あたし、ナナちゃんに会えなくなって寂しかった。

 また一緒に折り紙や、あやとりとかしたい。

 どうしていなくなっちゃったの?

 寂しくて、悲しくて、涙が出てくる。


 そんなとき、ナナちゃんから電話があったの。

 たからこうして御穂神社に来たんだ。

 着信があった。ナナちゃんからだ。


「ねえナナちゃん、どこにいるの?」

「その前に、メイちゃんには御穂神社でお参りをしてほしいの」

「わかったわ」

 ナナちゃんがどうしてそんなことを言うのかわかんないけど、あたしは神社に行ってお参りをした。


 境内を出ると、またナナちゃんから着信があった。

「横断歩道を渡ると、海に向かって道があるでしょ。そこを歩いてきて」

 あたしは、よくわからないけど歩き出した。

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