妖世界

「海では俺が一番偉いッ!山では大山津おおやまつみが一番偉いッ!

そして、海神・山神の中では閻魔大王様が絶対だッ!!」



「分かったけど…閻魔大王ってそんな偉いの?…。」



「様を付けろ様を!!殺されるぞ!?

死後の世界は2つに分かれてるんだ、

冥界めいかい…いわゆる地獄…閻魔大王様が牛耳っている世界。

人間の魂の管理や妖を創りだしたのが閻魔大王様。

天上界てんじょうかい…いわゆる天国…天照大神あまてらすおおかみが牛耳っている世界。

人間の運命を見たり輪廻転生を管理してる。

死ぬ予定の人間は遅くとも死期の3日前には天上界から名前と死因が記載された手紙と人間の一生を記した終生本しゅうせいぼんが冥界に送られてくるんだ。

人間は死んだら、まずは地獄に行って閻魔大王様の審判を受ける。

そこで閻魔大王様は終生本を前もって読んでから、本人の話を聞いて地獄行きか天国行きか決める

とっても重要なお方なんだ。」



「でも本見て決めてるだけでしょ?妖を創ったのは凄いけど…」



「ッ!バカ野郎!…閻魔大王様の前で言うなよ!?

人間の魂の数が…合わない時があるんだよ…

死因は天上界が見てるから外れる事は無い…なんだ。

だが一部の悪い妖のせいで魂が冥界に来ない事がある。

その原因を人間の魂の管理を任されている冥界が探らなきゃいけないんだ。

調査の指揮を取ったり…まぁ要するに頭が良くて人の見る目があるんだよな…。

会えば分かるよ。そんな風に見えないだろうけど!」



「妖を創ったなら妖を消せば管理もしやすいんじゃないの?」



「そうかもしれないな…。

でも人間は何かに縋らなきゃ生きられない弱い生き物なんだよ。

だから閻魔大王様が妖を創ったんだ。

だが、生んだ妖のはコントロールできない…

人間も産んだ子供が良い子に育つか悪い子に育つかはその子の心次第だからな。

だから、人間界にも検非違使けびいしがいるだろ?

そんな感じのものだよ、俺達は妖世界の治安を守る役目がある。」



「じゃあ、僕もその検非違使…

というか妖世界と人間の助けになるように海神になれって事…か…。」



「まあ、そういうこった!

お前の夢と大体は同じだと思うが?どうだ??」


ニコニコしながら綿津見は振り返る。



「僕は…もう人間の助けになんてなりたくない…。

僕が勝手に女の子を助けた…勝手に…したことだけど…

僕のせいで…。」


泣くのを堪えているのか拳をグッと握る海音。



「だから言ってるだろ…お前のせいじゃないって…。」



「そのことを早く聞かせてよッ!!

さっきから海神とか天国とか地獄とか訳わかんない話してないでさぁ!」


綿津見に向かって声を荒げる海音。



「訳わかんないだろうけど関係ない話ではないんだ。

今の話は理解できたか?」


綿津見は後ろを向いて歩き始める。



「な、なんだよ…。まぁ、少しは…。」


慌てて綿津見の後に続く海音。



「妖世界も最初は平和な世界だったんだ…。

夢幻がまでは…。」




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