海神
「海音ッ!下がってろ!!」
見知らぬ男が海音の間に入り、
杖を振りかざし青緑の光が一瞬にして大きくなり夢幻と悪霊達を飲み込んでいくー
「綿津見か…チッ…それでは、また会いましょう…王子様…。」
飲み込まれる前に夢幻はその場から消え、
悪霊の半分は光に飲み込まれ消えていったー
「誰だッ!!僕の邪魔をするな!!」
「すまなかったな…でも夢幻様…いや…夢幻の言う通りだ
君にあの数は倒せない…いくつもの妖怪や負の感情にまみれた人間を食い物にしているあの女…夢幻にも勝算は無いだろう。」
「僕は強いんだろ!?なのになんで勝てないんだよッ!
僕の…僕のせいで…お父様とお母様…皆が…っ!」
海音は目に涙を溜めながら崩壊した王国を見つめる。
「そうだな、お前は強い。だからこそ悪霊に狙われるんだ。でも今のお前は弱い。
まだ子供だというのもあるが…今回の事があって心にブレがある。
心と妖力はつながってるんだ…
心と体が強くなればお前は、俺も敵わないほど強い人魚になるだろうな。」
「今、守れなかったら意味ないんだよ…ッ…。」
「安心しろ、お前の母親と他の人魚達は海のエネルギ―になってるよ。
泡となって海と一体化してるんだ。海の中でお前を見守ってるさ…。
ただ、陸で殺された人魚はそのまま死体が残る…夢幻のあの光も…
本当に消えたのだろうな…生きていたことすら無かった事のように…
何故だ…妖力を奪わずに…。」
綿津見はブツブツと独り言を続けた。
「お父様が消えた…お母様も僕のせいで死んだ事に変わりない…
夢幻とか悪霊とか…意味わかんないし…お前も誰なんだよ!
なんで僕の事知ってるんだよ…!!お前も夢幻の仲間か!?」
海音は綿津見を睨みつける。
綿津見はニカッと笑いながら話す。
「自己紹介がまだだったな!俺は
人間は俺の事を
閻魔大王様の命を受けてお前を助けに…というか迎えに来たんだ。
今回の事はお前のせいじゃない、お前は夢幻の手のひらで踊らされてただけだ。
お前の優しさにつけ込んで…閻魔大王様の行動を読んでいたんだろう。
その証拠に、陸で捕まった人魚も夢幻の力で消えていた…。
人間に人魚の存在を隠すために。」
「なんなんだよ…意味わかんない…僕はどうしたらいいんだよ…。」
海音は頭を抱えて涙を流す。
「とりあえず、今回の事はお前のせいじゃない。それだけは断言できる。
お前の気持ちが落ち着くまで一緒に居てやるよ。
お前を連れて行かなきゃいけない所があるからな…
落ち着いたら全部話してやるよ。」
綿津見は海音の頭をポンポンと撫でる。
「…ッ…うぐ…っ…うぅ…っ…」
海音はぐちゃぐちゃの頭と感情を開放するように泣き崩れた。
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