第4話

私が隼人との一連の出来事を話し終えると、小夜子さんは「ふむふむ。なるほどですね~…。」と言いながら聞いた事をメモしていた。


「つまり、子供の頃に結婚を約束した隼人さんと、今でも本気で結婚したいわけね。」


「そ、そうなんです!お願いできますか?私、隼人と結婚できますか?!」


「オッケー、任せて由樹さん!必ず隼人さんと結婚できるようにしてあげるから☆」


小夜子さんは自信満々にそう言った。


私はあまりにも急な展開に困惑していたが、小夜子さんの自信に満ちた表情を見ると、絶対に隼人と結婚できるような気がしてきた。


それから約一週間後の夜、私が部屋でくつろいでいると、家のインターホンが鳴った。


ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン


「誰だろう…?せっかちな人だなぁ。」


そう思いながら階段を降り、玄関のドアを開けると、なんとそこには隼人の姿があった。


なんだかとってもゼーハーしてる…。


“急に私に会いたくなって猛スピードで走ってきたのかしら?ふふっ。”


私は“なんて可愛いんだろう♡”と思って隼人を見つめていると、隼人は今にも泣き出しそうな顔でこう言った。


「由樹………。俺と…、俺とけっ…………結婚してくれ…。」


「!!!?♡」


私はビックリしてしばらく声が出なかった。


“こんなにも急にプロポーズをしてくれるなんて、きっと小夜子さんのおかげよね!?凄い!!小夜子さん本当に叶えてくれたんだ!!”


私は小夜子さんの力に感動しつつ、平静を装って「隼人ったら、急にどうしたの?」と聞いてみた。


思わず顔がニヤついてしまう。


隼人は半泣きになりながらこう言った。


「実は最近、父さんと母さんが急にお前と早く結婚しろ!って物凄い剣幕で責めてくるようになったんだ。適当に誤魔化そうとしても父さんに『今日もプロポーズして来なかったのか!?一体いつになったらプロポーズするんだ!?今だ!!今すぐ由樹ちゃんの家に行ってプロポーズして来い!!そうしなきゃお前とは勘当だ!!大学の授業料も出してやらんぞ!!』って言われるんだ…。母さんも『子供の頃、あれだけ毎日由樹ちゃんと結婚するって言ってたでしょ??婚約指輪まであるんでしょ??由樹ちゃん、きっと隼人からのプロポーズを待ってるわよ。私達だって隼人は由樹ちゃんと結婚するんだってずっと思ってたんだから。』って言ってくるし…。だから………俺、本当はお前となんか結婚したくはないんだけど………でもお前と結婚しないと毎日責められるから…。だから、だから俺と結婚して下さい…。」


隼人は王子様のようにひざまずき、結婚指輪のケースをコチラに向けてから蓋を開けた。


私は両手で口元を覆い、あまりの嬉しさで一杯になっていた。


私は涙を流しながら「隼人、もちろんよ♡結婚しましょう♡」と言って隼人の肩を抱いた。


すると、外の方からパンパーンとクラッカーの鳴る音が聞こえてきた。


そして隼人のご両親が感動で涙を流しながらコチラに 向かって来る。


「ごめんね由樹ちゃん。ずいぶんと待たせちゃって…。」


「隼人のヤツ、恥ずかしがっちまって…、こんなに遅くなって本当にスンマセン!どうか隼人と結婚してやって下さい。」


「これからは家族として、よろしくね由樹ちゃん!」


隼人の両親がこんなにも祝福してくれるなんて…。私はますます感動した。


「はいっ!よろしくお願いします!!」


私は涙を流しながらも満面の笑みでそう言った。


“小夜子さんありがとう。本当に本当にありがとう”

私は心から小夜子さんに感謝した。



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