第3話
「やっぱローズクォーツのブレスレットを買うべきかなぁ…」
私は就寝前にお顔のパックを貼りながら考えた。
以前、大学のお友達が「ローズクォーツのブレスレットを付けてから恋愛運が上がった」と言っていたのを思い出したのだ。
“とりあえず石の力を味方につけよう。
人の心を動かすには、なにか不思議な力が必要なはず…。”
私はスマホで近所にパワーストーンのお店が無いか調べてみた。
すると、家から電車3駅分ほど離れた場所に、小さな個人経営のパワーストーン屋さんがある事が分かった。
「よーし!明日の講義が終わったら行ってみよう!!」
ローズクォーツの力を使えば、きっと隼人は素直に私とお喋りしてくれる。
そして昔のようにラブラブになって結婚したいと思うはず…。
私は期待に胸を膨らませながら布団についた。
翌日、大学の講義を終えた私は一目散に校舎を後にし、昨日調べたパワーストーンのお店へと向かった。
電車を降り、住宅街の奥の方へと歩いて行くと、周りを木に囲まれた小さな建物が見えてきた。
平屋建ての小さな一軒家のような外観の建物。
近付いていくと、丸みがあってとても可愛らしいメルヘンチックな建物のお店だった。
お庭には樹木や低木が植えられていて、レンガでできた花壇には可愛いお花が揺れている。
所々にうさぎや妖精さんの置物も置いてあり、まるでおとぎ話の中に出てくるような素敵なお庭だった。
私は木製看板に『ミラクルショップ小夜子』と書かれている事を確認し、「ここね!」と言ってレンガのアプローチをワクワクしながら歩いて行った。
お店のドアには『OPEN』と書かれた札が掛けられている。
ドキドキする気持ちを押さえながらお店のドアを開けた。
お店の中にはところ狭しと沢山のパワーストーンが陳列されていた。
種類ごとに小さなカゴに入れられていて、カゴの中で石達がキラキラと輝いていた。
さらにお店の中を見渡すと、石だけではなくホワイトセージの葉やお香、チューナーやオルゴナイトなども並んでいた。
「わー、あの水晶大きい!凄~い!」
私が飾られている大きな水晶に気付いて感動していると、コツコツと足音が近付いてきた。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
そう言って現れたのは、私よりも少し歳上くらいの若い女性だった。
髪は明るい茶色でパーマがかかっていて、お洋服も森ガール風の可愛らしい服装の女性。
胸に付けている名札には『店長 小夜子』と書かれている。
「ロ、ローズクォーツのブレスレットが欲しいんですけど…。」
私がそう言うと、小夜子さんはニッコリ微笑みながら「あぁ、ならコチラですね。」と言って陳列されている場所まで案内してくれた。
そこには様々なパワーストーンのブレスレットが飾られていた。
私はローズクォーツのブレスレットを手にし、「コレにします。」と言ってさんに手渡した。
「ありがとうございます。ではお会計はアチラで…。」
小夜子さんはそう言うとレジカウンターまで案内してくれた。
私はレジカウンターの前に着き、お財布からお金を出していると、ふとレジに貼り付けられた手書きのポップに目が止まった。
『あなたのお願い事を叶えます☆1回5000円』
私が目を丸くしてポップを見つめていると、それに気付いた小夜子さんが笑顔でこう言った。
「あぁ、もしかして何か叶えたい願い事とかありますか?ご依頼してくれたら、あまり大きな声では言えませんけど100%叶えちゃいますよ☆」
言い終わると小夜子さんは私に向かってウインクをしてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます