第2話

分かれさせ屋の仕事は見事だった。


依頼してから約3ヵ月くらいかかったけど、隼人と浮気相手はちゃんと別れてくれた。


分かれさせ屋のイケメンスタッフが女の方と親しくなってくれて、なんだかんだで隼人と別れてくれたみたい。


痛い出費だったけど、アルバイトのシフトを増やしてもらってどうにか支払えた。


とりあえずホッと一安心だけど、ちょっと目を離した隙に隼人が浮気をしてしまったという事はかなり重く受け止めなくてはならない。


別々の大学に通っている以上、また別の女と浮気してしまう可能性がある。


私も隼人ももう結婚可能な年齢だし、そろそろ倦怠期で反抗的になっている隼人を素直にさせて、私と結婚してもらわなきゃ!


私は俄然やる気が出てきた。


でも隼人との連絡手段が無い。


小学校の入学依頼、隼人は恥ずかしがってずっと私を避けていた。


そのせいで隼人のスマホのメールアドレスも電話番号も教えてもらってない。


仕方がないから隼人ん家の玄関前で隼人が帰ってくるのを待ち伏せした。


“そろそろ帰ってくるかな?”


久しぶりに隼人と会話できると思うとワクワクドキドキで顔がニヤけてしまう。


「ふふっ♡」


隼人とラブラブな関係に戻った時の事を妄想して顔が火照ってきた。


約2時間ほど経った頃、ようやく隼人の姿が見えてきた。


「隼人ー♡」


私は日傘を持つ手とは別の手を大きく振りながら隼人呼んだ。


隼人は私の姿にビックリして目をまるくしていた。


“ふふっ、隼人ったら可愛い♡”


私は隼人がもっと近くまで来てくれるのを待っていたけど、隼人はその場に立ち止まったまま戸惑った表情をしていた。


“きっとずっとヘソを曲げて私を避けていたから、顔を会わせるのが気まずいんだわ


ここは私から隼人に近付いてあげなきゃ。


何も心配しなくて良いんだよ。

私は全然怒ってないから!”


私はそう思って隼人の元へとかけて行った。


「隼人、久しぶり!元気だった?」


私は隼人が安心するように満面の笑みを浮かべて話しかけた。


隼人はいまだ戸惑った表情で「お前、ここに何しに来たの?」と言った。


「何しにって…。隼人に会いに来たんだよ。だってそろそろ会わなきゃ…。私達、結婚するんだし♡」


私がもじもじしながらそう言った。


すると隼人は「はぁっ?!ふざけんなよ!!今すぐ帰れ!!」と言って私を睨みつけてきた。


私は呆れちゃった。


「隼人ったらまだそんな事を言ってるの?

そんなんじゃいつまで経っても結婚できないぞっ。」


私は頬っぺたを膨らませて見せたけど、隼人は何も言わずに家の中に入ってしまった。


“なかなか手強いぞぉ…”


私は手を腰に当てながらそう思い、また頬っぺたを膨らませた。


“とりあえず今日のところは帰って家で作戦を練ろうかな”


そう思い自分の家に向かう。


歩いて30秒で私の家に到着。


“こんなに近くに住んでいるんだもの。隼人さえ昔の素直な隼人に戻ってくれれば、大学が別々でも毎日会う事ができる!あっという間に結婚できるはず!だって私達、あんなに好き同士だったんだもん!!”


私はガッツポーズを可愛く作って気合いを入れ、家の中へと入っていった。





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