1-2・星型に切って
クラスメイトの由真さんが、僕に星の書かれた丸い画用紙をもってきた。
「今、私たち、かざりを作ってるの。ゆうきくんもこれ、いっしょに切ってくれる?」
「いいよ。」
僕は、渡された紙を、隅から中心にかけて、りんごの皮を剥くように綺麗に切って、長い飾りを作った。
「はい、由真さん、どう?なかなかでしょ?」
思ったよりも綺麗な飾りを作れたので、僕は嬉しかった。
「何これっ!星じゃないじゃん!」
「え、星じゃなきゃダメなの?」
「真ん中にぃ!!星が!!書いてあるでしょ!!星を切るに決まってるでしょ!!」
由真さんは怒っている。
星型の飾りなんて言われていないし、せっかく作った飾りも褒めてもらえず、僕は悲しくなった。
「星型に切ればいいんだね。わかった。もう1枚ちょうだい。綺麗に切るから。」
「次は、ちゃんと切ってよね!!」
由真さんから渡された紙には、ハートマークが書いてある。僕は、さっきより長いりんごの皮を作りたかったけど、星!って怒られたから、諦めて星型に紙を切り取った。
「はい、由真さん。上手に星が切れたよ。」
「‥‥ねぇ、これハートなんですけど!!!もう星は終わったし!!もういい!」
せっかく切った星を、由真さんはポイっと投げ捨てて、女の子達の方に戻っていった。
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こういうものは、こうつかう
と一度頭にインプットされてしまうと、
それを簡単に覆すのは難しい。
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