SS第三話 「明日花とお母さん」
コンニチハ、中村青です。
以前公開していたSSを再度公開します。
こちらはサポート限定で公開している分と同じ内容になるのでご了承下さいませ。
「明日花、今日も可愛い。世界で一番大好きだよ」
ママが言うには言葉には不思議な力があって、口にしているうちに本当になっていくらしい。
だから「自分はダメだ」「失敗ばかりしてポンコツだ」だなんて言ったらダメだって、口を酸っぱくして言われていた。
この前も冗談で「明日花が死んだらどうする?」って聞いたら、すごく恐い顔で怒られてしまった。
「そんなこと、冗談でも言ったらダメよ。ママ、明日花が死んだら生きていけない。あなたがいない世界なんて悲しくて死んじゃうと思う」
ギューって、両手いっぱいに抱き締められて、頬にキスされて。この瞬間が私は大好きだった。
「もし明日花がピンチになっていたら、ママが助けに行くから。ママの命にかえても明日花を守るわ」
「そんなの嫌だ。ママが死んじゃったら明日花悲しいよ」
「そうだね。それじゃ、二人とも悲しくなっちゃうから、危ないことはしないように気をつけようね」
大好きな、大好きなママ。
パパのことも大好きだけど、ママは特別。
たまに怒って恐いこともあるけれど、笑ったママを見ると私まで嬉しくなる。
「ママの夢はね、いつか明日花が素敵な人と出逢って、その人と結婚して……明日花の子供を抱っこすることが夢。明日花の幸せがママの夢」
大好きなママと、素敵な人と私の子供。
幼稚園で好きな男の子は何人かいるけど、
「ママ、ずっとずっと大好きだよ?」
「うん、ママも明日花のことが大好きよ」
「明日花、世界で一番ママとパパが好き!」
そんな私とママのことをパパは少し複雑そうに見ていた。
「——もう、パパー……。パパも明日花のことを可愛いって言ってよ? もっともっと大好きって言ってあげてよ」
「言ってるよ、ちゃんと。大体ママが言い過ぎなんだよ。一日何回言ってるんだ?」
「そんなの何回でも言うに決まってるでしょ? こんなに明日花は可愛いんだから。大好きな明日花……ママは、ずっと明日花に会いたかったんだから」
ママの温かい手がそっと頭を撫でる。
幸せな夜の一時だった。
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