第2話 誕生

俺の聴力と、視力は再現した。

何故完治じゃ無いのかって?

それは、再び得たからだ。まあ、そのままだ。

俺は、赤ん坊だった。

そうだとすると一応今までの出来事については、合致はする。

多分だが、歓喜の声は“今”の両親が、誕生したことによる喜びの声だったのだろう。

俺の微小に残った記憶は、いずれか消えるだろう。

赤ん坊は、まだ謎のことも多い。

だが、輪廻転生の証明になったと考えると、すごい発見だと思う…この世に輪廻転生が証明されていないのは、発言権を得る前にその記憶が抹消されるからだろう。

お腹が空いてきたので、叫ぶとしようか…なんか引きこもりみたいで嫌だが。

「ぎゃあああああ」

思いっきり叫んだ。

ご飯くれメンスと云うつもりだったが、舌が思うように動かなかったため叫ぶしかないのだ。

赤ん坊の宿命だ。

舌だけでは無い。

指なども思うように動かない。

悴んだ指先的な感じだ(?)

母親が、こちらに来る。濃紺色のロングヘアの似合う、綺麗な方である。若いという綺麗さである。

だが、普通よりは世界を達観していそうな感じ…大人と子供の真ん中みたいと言えば良いだろうか?

前世ならば、勝手に視線が移動していただろうが、母親なので、欲情はしなかった。

「————————」

母親が服をはだけさせた。

俺をお姫様抱っこをして、胸の横に固定される。

目が見えていない時から摂取しているからであろうか、俺は特に抵抗なく、胸にある突起に唇を当ててちゅうちゅうと吸う。

うむ…不味くもないが美味しくも無い。

舌が発達していないからなのだろうか、俺はコロナの時の味覚に既視感を感じざる得なかった。

「————————」

よしよしとでも言っているのだろうか。

声が曇っている感じは、この言語の所為であった。

発音の仕方は、英語でも日本語でも無い変な言語である。

どこの言語なのだろうか?

そう考えていると、すぐにお腹が満タンになる。

俺は、突起から口を離す。

母親は、察したように俺をベビーベッドに横たわらせた。

俺は、はいはいは愚か、寝返りすらも出来ない。

まあ、気楽に待っていれば、いつかできるようになるだろう。

そんなことを考えていると、急に眠気が襲ってきた——

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