追憶の冒険者
@musyunn
第1話 記憶喪失
目が覚めると、真っ暗であった。
何も見えない、うっすらと耳に入ってくる人の声は曇っており、ぼやけている。
だが、唯一良かったのは、感覚があることである。床は冷たいが、金属ほどではなく、温かみがある。
木製か?
そんなことを考えていると、布のようなもので体が包まれた。
ここは、どこだろうか。
おーい。
と叫ぼうとしても、声が出ない。目も開けられない。
力が出ない。とてつもない不安に駆られ、誰かの名前を呼ぼうとして、正気に戻った。
そして、寒気が…悪寒が俺を襲った。
《記憶がない》
なぜ、俺がここにいるのか。
俺は、今どこにいるのかわからない。
それは、記憶喪失の所為かも知れない。だが、記憶喪失というのは、言語も忘れる物なのでは無いか?
考えても無駄だと直感で察した。
と、その時、右腕に暖かく柔らかい物が当たった。5つの細長く温かいものの真ん中に四角形のような何かが当たっている。
誰かの手だろう。温もりを感じて、俺は酷く安心した。どうやらここは、病室のようである。
両親のような老いた者の声は聞こえない。
20歳ぐらいの男女の若い声。
俺の友人だろうか?となると、俺は20歳前後と推定できる…。
だが、違和感があった。普通、記憶喪失になる程の重症を負った友人に再会して歓喜するだろうか。
いや、俺だったらしない。
では、イジメか?病室まで嘲笑いに来たのか?
あぁ、クソ。何も思い出せない。
ずっと俺は寝たきりになるのだろうか。
記憶喪失早々、俺は絶望するのであった。
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