第2話 ポメガバース




 ポメガバース。

 ポメガは疲れが頂点に達したり体調が悪かったり、精神的肉体的疲労が溜まるとポメラニアン化する。

 ポメ化したポメガは周りがチヤホヤすると人間に戻る(戻らない時もある)。

 周りの人がいくらチヤホヤしても人間に戻らない時は、相棒がチヤホヤすると即戻る。

 ポメガは相棒の香りが大好きだから、たくさん相棒の香りで包んであげるととても癒されて人間に戻る。


 「オメガバース」の世界観を踏まえて作られた「バース系創作」のひとつである。




 大妖怪である九尾の妖狐に、或る一人の仙人が、本来ならば創作物に留まるこの能力を呪いとしてかけられてしまい、精神的肉体的疲労が溜まると、犬の一種、ポメラニアンに化してしまうという悲劇に見舞われた。

 その仙人の名は。






「そなたは仙界の五本指に入る仙人、凍夜いてやを癒して、ポメラニアンから仙人に戻すという超重要な任務を課せられたのっじゃ!!!」


 十二単のように何枚も着物を重ね着をしている、おでこも白い髭も超長いご老人、いや、仙界の長である大仙人は、目をかっぴらいて言った。

 異世界から釣り上げた少年、栞太かんたに。


 あれ何のオーラも感じないけど、本当にこの少年で大丈夫なのかないやきっと大丈夫己を信じろだってわしは大仙人、大仙人であるわしが釣り上げたからこの少年で大丈夫。


 己を鼓舞しながら、大仙人は言い切ってしまった。

 豪語してしまったのである。

 まだ本当は、相棒候補であるにもかかわらず。


「そなたはわしが選び抜いた、凍夜いてやの唯一無二の相棒じゃ」


 と。










(2024.3.1)



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