第18話

「そう、ついにラリスタとアノス王子が断罪されますのね」


 アルミ王子に、ラリスタとアノス王子の執行を教えられましたわ。


「ああ。実の妹と元婚約者が死刑だなんて……僕には胸中を察することもできないけれど……きっとつらいだろうね」


「いいえ、割とさっぱりした気持ちです」


「え?」


「だって、私を捨てた婚約者と、私から婚約者を奪ったが断罪されるんですよ? 同情の余地は皆無ですわ」


「ははは……キミは強いね……」


「ええ。だって、王族の方と婚約をする女ですもの」


「……え、それって────」


 アルミ王子の手を掴みますわ。


「王子様、私はあなたの熱烈なアプローチに……負けましたわ」


「つ、つまり……」


「ええ。謹んで婚約をお受けいたしますわ」


 ずっと、ずぅーっと、ずぅぅーーーっと。

 私はアルミ王子様から、熱烈なアプローチを受けてきましたわ。

 初対面の時はおとなしい方でしたけれど、仲がよくなると……熱烈な愛情を持った方だと再度理解しましたわ。


 週に一度、100本の深紅のバラの花束をプレゼントしてくださり。

 週に一度、「キミのためを想って作った」と熊のぬいぐるみをくださり

 週に一度、100札以上の本をプレゼントしてくださり……。

 その他にも、様々なプレゼントをくださりましたわ。


 正直、最初は若干鬱陶しいと想ったこともありましたわ。

 けれど、徐々に彼の恋慕が本物だと気づきまして……今では、もう折れてしまいましたわ。


「ほ、本当かい……!?」


「何度も告げた方がいいですか?」


「い、いや、そ、そんなことはないけれど……す、すごく嬉しくて……!」


 ふふ、手を上げて喜ぶ姿は、最初にあったときのイヌのような仕草を連想させますわね。


「でも、アルミ様も、どうして私のような傷物令嬢を好きになったんですの?」


「人を好きになるのに、理由はないよ」


「ふふ。それもそうですわね」


 真っ直ぐに恥ずかしげも無く、そう告げるアルミ王子様。

 その姿に……少しだけ、キュンとしてしまいましたわ。


「しかし、不思議な縁ですわね。ラリスタアノス様が婚約して、アルミ様が婚約するだんて」


「う、うん……ふふ、すごく変だけど……僕は、嬉しいよ」


「それは何よりですわ」


 アルミ様はアノス様に比べて、身体が弱いですわ。

 ですけれど……アノス様よりも、圧倒的に純粋無垢。

 決して、私を裏切ったりはしないでしょう。


「アルミ様」


「ん?」


「……これから、どうぞよろしくお願いしますね」


「こ、こちらこそ!!」

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