第23話 ドゥラーク男爵邸

 最後はマリエラに相談しフルールはジャンに、男爵邸に行くことを話した。

 男爵邸は馬車で一時間位なので、フルールは直ぐ家に帰って来れると思っていたが、ジャンの話ではお祝いは一週間ほど続き、準備などを合わせると二週間ほど滞在するらしい。

 フルールが思っていたよりは長い滞在なので、不安はあったが、マリエラと一緒なら大丈夫だと思っていた。


 フルールの踊りの演奏者も男爵が手配してくれるようで、他に呼んでいる楽団や劇団などの披露もあるらしい。

 男爵にはマリエラと一緒に行くことを容認してもらいたかった。

 ジャンは早速ドゥラーク男爵宛に手紙を書くことにした。


 数日後、男爵からの手紙には、マリエラの同行を認める旨の返事と、部屋割りや日程表などが同封されてあった。

 衣裳なども新しく作るように、ノクスの街のブティックの名前が書いてあり、楽器についてもマリエラのティン・ホイッスルが買えるように手配済みだった。

 男爵はフルールのことをよく調べてあった。


 フルールたちは衣裳の打ち合わせのためにに早速ブティックに行き、帰りに楽器店に寄り、ティン・ホイッスルを見せてもらった。

 衣裳はオリビアとマリエラの意見で、ティン・ホイッスルは音色を確かめ、フルールの踊りに合った少し低音の笛を選んでいた。

 笛の長さが少し長くなったが、音色が素朴で伸びがあり、マリエラはとても気に入っていた。


 数日後すべての準備が整い、男爵邸からの迎えの馬車を待つだけとなった。

 今回の衣裳は、フルールの瞳の色に合わせ、青い鳥をイメージした白と青の衣裳だった。

 今回は花びらを撒かずに、布を手にして踊る予定だった。

 布には重さが出ないよう所々に、小さなビーズが散りばめてあり、動かす度にキラキラと光っている。


 衣裳や手持ちの布もサルタに相談したかったが、手紙では伝わりにくいので、主にオリビアとマリエラが考えたものだった。

 衣裳の素晴らしい出来映えに感動し、三人は大満足だった。


 男爵様から連絡があり、宴が始まる五日前のお昼ごろに馬車の迎えが来るようだった。

 フルールは初めて招かれる男爵邸を楽しみにしていた。貴族のお誕生日会とはどのようなものなのか興味があった。

 フルールたち以外にも招かれている楽団や劇団の人たちもいた。今回踊りの演奏を担当してくれる楽団の人たちと会いたくて、期待に胸を膨らませていた。

 フルールとマリエラは披露する演舞に向けて、熱心に練習を重ねていた。

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