第17話 王都
王都についた三人はまず、ペテルの通っている専門学校の学生寮に向かうことにした。
王都の道は石畳で舗装され、馬車の揺れも少なく滑らかに進んでいた。
道の両脇には様々なお店が立ち並び、所々に街路樹や花壇があり、道行く人は慌ただしく、人の多さに圧倒される。華やかだが騒然としていた。
馬車の中から見たこともない大きな建物が見えた。王宮だった。
王宮は白を基調とし、屋根は緑色で傾斜があり、窓が多くあるので、太陽の光が反射してキラキラと輝いていた。想像を超える建物の高さに圧倒される。
王宮の一部の庭園は定められた時間に、一般にも解放されており、王都民や観光で訪れた人々が自由に出入りしている様子が見えた。
初めて王都に来たフルールとマリエラは、目を輝かせ馬車の窓から、外を伺っていた。
「すごい人ね。マリエラ」
マリエラは大きく頷き、オリビアに声をかけた。
「奥様は来られたことがあるのですか?」
「あるわよ。お友達もいるのよ」
フルールは母のお友達にも会ってみたいなと思いながら、同時に羨ましく思った。
専門学校の寮に着き、ペテルを呼び出してもらうと、荷物を持ったペテルが門から出てきた。
今日から王都の宿に四人で泊まることになっている。
変わっていないペテルにオリビアは安心した。
オリビアは、ペテルに聞きたいことがたくさんあった。しっかり食べているか、勉強で疲れていないか、友達と上手くいっているか年頃の息子に遠慮して「元気そうね」の一言だけを言った。
ペテルは微笑みを返した。
サルタには王都に到着する日を予め手紙で伝えてあり、宿に着いたことを報告するとともに、明日からはいつでも訪問できる旨の手紙を書き、サルタの元に届けるように郵便係に託した。
フルールはサルタとの再開が楽しみで、踊りの練習と体を解すための運動を欠かさなかった。毎日の努力の甲斐があり、フルールは以前よりも、思うように体を動かすことができるようになっていた。
サルタは忙しいようで、再会は三日後となった。
直ぐにでも王都見物をしたかった子どもたち三人だったが、まずはオリビアのお友達の家を訪問し、お勧めのお店や食べ物などの情報を教えてもらうことになった。
オリビアの友達は、王都でも3本の指に入る有名な商会の夫人であり、同じ年頃の子どもたちもいて、ペテルたち三人はすっかり打ち解けていた。
ゴーン商会のルアイ夫人はノクスの街出身で、オリビアとジャンの幼馴染だった。
父のこともよく知っているようだった。
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