2024年7月

生搾りオレンジジュースの自販機のうしろで暮れていく八月は



あなたから貰った財布に入れてある最後に行ったカフェのレシート



内覧で見つけた傷も十五年ずっといっしょに年老いてきた



川べりを走り始めて知る四季にそれぞれ音があるということ



ドナドナと売られていくよ僕じゃない失敗をただ謝罪しに行く



中学のヒーローだったお前さえ東京ここじゃ名前も無いただのモブ



病葉わくらばの一葉一葉ちがう色 あなたに瑕疵があるから愛しい



死んだ星のひかりを浴びる七夕の願いよひかりの速さを越えろ



乗り込んだ車両は無人 つかの間のわたし・オン・ステージ開催します



あの夏に君を選ばず分岐したルートがトゥルーエンドに行かず



沈んでく太陽が作る空色のようなカクテル案外苦い



水槽のアロワナはここが日本とか事故物件とか気にしてるかな



もう夏はしんどいだけという君が少女のように浴衣を選ぶ



学年はいっしょなのよ早生まれだから、と最近言うことも減り

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