2024年5月 ②

雨でさえ私を止められない朝だ 黄色いレインシューズをおろす


夢を持ちそして破れて大声で泣き叫ぶまでが夢のサイクル


どうしたの出会った頃はもう少し人間らしく出来てたじゃない


海を見てホームシックにかかる夜 わたしの肺ではクラゲがたゆたう


洒落た服ばかり選んだはずなのにかがみにうつる垢抜けない我


おまえこれ敵ばっかりやんしゃあなしに酢豚のパインの味方になった


通勤の京王線で同じ本を読んでる人がいる月曜日


野生化したインコの群れで長老が語るやさしい鳥かごのこと


密輸する スクールバッグの奥底に麻薬みたいに隠すBL


おとなでもライオンバスに乗りたいとわたしが言うより先に言うひと


愛するな、だなんて君の無理難題丸ごと受け止め愛をうたうよ


わたしより賢くなかった級友をFacebookで検索したり


置きっぱなしのままの体温計 平熱になって君に凭れていたい


カレーすらまずく作れる才能で我が家くらいは平和にしたい


蜘蛛の糸みたいに届くソプラノの声が三年二組の窓から


ミミックがティッシュに擬態しリビングの平和な時間を脅かしている


あなたから借りたフレーズ歌にして返すからまた会ってください


自転車で行ける範囲の外側を教えて ひとりで生きてくために


月の出る夜は不安が巣食うからラム酒飲んでのLINEを赦して


君を消すスイッチを押すひとりでは上手に寝れない夜に包まる


今の世の弥勒菩薩もアパートで冷凍ピラフをチンしてるだろう


ややズルい桃太郎は土佐犬にプロテイン入りきび団子与え


屑箱が溢れてしまう逢いたいと書いては捨ててしまう短冊




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