2024年5月 ①

しあわせは自分でつかむし運命の王子さまより犬と過ごすね


モノクロのワードローブに差し色の黄色が増えてくあなたの色の


湯島から始まる恋があるもんか気絶の間際叫んだらしい


月光で育った猫にふかふかの毛布をあげて月を奪った


死ぬまでにやりたいことを消化して残ったものが生活でした


ファンファーレ 君しかいないこの街にパン屋をひとつ置いてあげます


感傷が塗り変わってく新しい恋人と往く勿忘草路


あの夏に君と並んで見たときの花火はこんなに鮮やかだっけ


千円を落としたひとと拾うひと春を売る娘は通り過ぎてく


自殺する十年一度も着ていないInnocent Worldイノワのワンピをメルカリに出す


日焼け止めもアームカバーもサンダルも水着もスイカも買うぞ、早いか


晴れの日は少し寂しいどの犬の飼い主もぼくじゃない公園で


まだ夜はこれからだけど靴下に穴開いてるしブラGUだし


ハッシュタグうたの力で日本中のもやしぜんぶ買い占めようぜwww


野良猫は死んでしまって墓もなく今はただそこに菫が咲いてる


進化するわたしは夜のこどくっちだから泣いてもいいこととする


ああこれはきっと優曇華 花の名を調べるアプリがエラーで君は


子をつくる機能を止めても血は流れ国立駅ではつばめが巣立つ


週一でウーバーしてたつけ麺にいっしょに行こう電車に乗って


人類から「おいしい」の語彙を奪い去り日本を玉手箱まみれにする


愛のこと教えてくれた君(オンナ/オトコ/AIあるいは月光)


マリオ3もクリアできないままいるし父とも仲直り出来ないままだ


印象派みたいな君が持っている饅頭(中身はうぐいす餡だ)


寝る前に聴きたい声を持ってるね、なんて言葉で誓う永遠


忙しい 七日で蝉は恋をしてわたしは君に失望をする


錆び付いたネオン看板が語りだすここが栄えていた日の記憶


とりあえず、と100円ショップで買った皿 二十年前、学生街で


もう一度食べたいピノキオのAランチ(いまじゃ小盛も無理だろうけど)


最後だしこれだけ伝えておくけれど、お前の使う顔文字ダサすぎ


ひと駅はおよそ四分 参考書めくらず外を眺めて、落日


あの炎上系YouTuberは未来人 世界のためにフラグを燃やせ

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