新事実と新イベントの予告。
第33話 次に来るイベント。
〘アストリアルチュア寮 自室〙
仕事を片付けた後、僕は寮に帰って
椅子に座り休んでいる。
この寮、アストリアルチュアは
断罪者という物凄く強いゲリラ部隊を
作り出す為の「断罪者候補」を入れる
色々と特別な寮だ。
ベッドふかふか三食無料は美味しい。
さて先程考えていたが夏真っ盛りの時期。
原作主人公の蒼井正義くんがアルストを
手に入れ、原作のシナリオがスタートする
襲撃事件などのいざこざから
三ヶ月程度が経ち、この叡門学園も
落ち着きを見せ始めていた。
一方で僕達の方は治安維持警備隊のシフトに
加わったり、そこから仕事が急増したり、
いつの間にか治安維持をワンオペで
やるようになったり、色々な事があった。
僕の知らない所でいつの間にか出てきた
二つ名の「翡翠の悪魔」。
治安維持で先程のようにやり過ぎたり、
僕と敵対した犯人共曰く、
殺意がおぞましいだの戦いたくないだの、
そう言った物が誇張されたり、
存在しない話が付け足されたりして
出来てしまったものらしい。
ただ叡門学園側からは有力な戦力として
正当に評価されているようで、
この二つ名が出て以来、ちょくちょく
僕の所に犯罪組織にカチコミなどといった
仕事も舞い込んでくるようになっていた。
何でも屋ではないんだがなぁ……。
ともかくここ三ヶ月はずっと警備隊したり、
たまに事件の犯人を捕まえたり、
たまに犯罪組織を単騎で壊滅させたり。
治安維持活動しかしていなかった。
お陰で対人戦は多少出来るようになり、
戦闘経験の蓄積か身体の成長か、
魔力が以前よりも格段に増えていた。
僕としては、魔力が増えるという事実が
めっぽう嬉しかった記憶がある。
原作の方だとレベルアップの感覚に近いの
だろうか。だからといって身体能力も
向上したという感覚は全くないが。
さて、原作ではこの夏場にイベントがある。
それはレイド戦。原作ではイベクエを
進めたり、スタミナを消費したりして
獲得したチケットで参加可能なイベント
だった。
そしてこのイベントにはまあ恐らく
断罪者候補たる僕達も参加するのだろう。
悪役のブラックパーティさん御一行の
仕業でないことを祈ろう。僕が過労になる。
『やはり断罪者候補とブラックパーティの
協力者という如何にも厨二病な立ち位置は
辞めておいたほうが良いのでは?』
善と悪って確かに厨二病っぽいけど……。
国の安全を守る断罪者、
国に波乱を巻き起こすブラックパーティ。
でもようは犯罪組織の一人が警察に
スパイに来ているような感じだしな。
厨二病ではない。うん。
『まあ性転換してクールキャラを装う
その行為自体が厨二病ですけれど
可愛いですねクールぶっちゃって。』
……っ!?
不意打ちやめてヴァルハラさん。
『最近可愛いという言葉に過敏に反応する
ようになって私も嬉しい限りです。
生産者表示は何処で出来ますかね。』
生産者表示はないしヴァルハラさんは
ちょっとおかしいアーティファクトの銃で
あって親ではないから。
むしろこっちはマスターだから。
『一応まだまだ性転換して生活する事が
確定した直後、女性の作法を教えたり
したではありませんか。
私が育てたも同然かと。』
助けてうちの相棒がおかしいの。
『ちょっとおかしいアーティファクトの銃
といったのはマスターではないですか。』
そういう意味でいったわけじゃないから。
『ともかくレイド戦に向けてですよね。
どうなさるのですか?』
話題転換が早いね……。
一応程々に参加してレイド戦に
貢献はしておく。
ブラックパーティがこのレイド戦に
関わっていたのは分からないけれど、
突如として出現したダンジョンが
レイド戦の舞台だから恐らく違うだろう。
レイド戦は魔力が循環せず積もり積もって
蓄積した魔力がダンジョンを作り出し、
そこから溢れ出したボスモンスターを
討伐するイベントだ。
原理としては魔力が蓄積し、3次元に存在
しきれない魔力が4次元空間、
まあダンジョンなどがいる空間に
逃げようとして時空の裂け目を無理くり
創り出して、その逃げようとした魔力が
ダンジョンを構成するという方法で
発散されたという訳だ。
この方法は実はこの世界で試されていた
らしく、魔力を集積させて無事にダンジョン
を生成できたはいいものの、その後に
出てきたモンスターにより実験は中止。
何人かの化学者が犠牲になって以降、
ダンジョン生成は禁忌とされている。
この事件の真相を別の化学者が解いたが、
モンスターのダンジョン外への脱走は、
ダンジョンとこことの境界の誤認識
だという。
つまり今回のレイド戦は3次元と4次元を
無理くり繋いでしまった魔力により、
その境界が曖昧となり、3次元側を
ダンジョンだと誤認識したモンスターを
討伐する、というのが全貌だ。
放置しておけば罪のない人々が犠牲となり、
被害は拡大する。
そこで名門校らが出動する訳だ。
『長々と言って下さいましたが、
本当にただの討伐イベントなんですね。』
原理こそ説明されているがその通りだ。
倒せば済む。それだけの話。簡単だ。
魔力は有益であるが、使い方を間違えれば
兵器にもなりうる。
そこら辺は原子力と同じだろう。
まあ、魔力の方が用途が多いが。
このイベントによって主人公は
強大な敵に立ち向かう意志を手に入れる。
重要なイベントだ。間違っても絶対に
シナリオブレイクしてはならない。
僕は今日の残りの時間を全て使い、
どうレイド戦で立ち回るかを模索し、
ゆっくりと眠りについた。
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