プロローグ(四章)

夏真っ盛りの日。

ある少女は制服を着て学園に登校していた。

黒髪のロングヘアには所々に

翡翠色の髪が混じっている。

そして左側には三つ編みがあった。


スラっとした体系ながら、

意外にも身長は小さく、現代でいうと

高校生というよりかは中学生と言えば

違和感がないという身長であった。

実に155cmである。


この少女の名は矢月やづきそら

この世界に転生してなんやかんやあって

性転換してしまった本作の主人公だ。


彼女が登校している最中、

彼女に声がかけられる。


「ご機嫌よう。今日も一人なのね。」


彼女に声をかけた人物は女性で、

銀色の髪を持ち、髪型はハーフアップ。

深い深海のような蒼い瞳からは

何より近寄りがたい雰囲気を持ち隙がない。


「そうよ。」


彼女の棘があるような言葉に対し、

宙は素っ気無い返答をした。


「相変わらずの塩対応ね。

首席としての自覚があって結構よ。

でも疲れるんじゃなくて?」


「人と関わりすぎる方が疲れるの。

分からないかしら?」


宙は心底嫌そうに髪をかきあげる

仕草をする。


「そう、それでは1-1でまた会いましょう。」


それを無視して彼女の方は別れを告げる。


「そうね。」


宙はそう軽く返事をし、先に行く

彼女の様子を見守っていた。


「はぁ……。めんどくさいなぁあの人。」




――――――――――――――――――――




〘叡門学園 1-1教室〙


叡門学園えいもんがくえん

この国の中では有名な学園であり、

上級冒険者を多数排出して来た学園である。

また、名門校という肩書も持っている。


名門校と呼ばれるには3つの条件があり、

一つ、上級ダンジョンの攻略パーティーを

多数所有していること。

一つ、生徒を1000人以上保有すること。

一つ、アーティファクトという

を所有すること。


名門校という肩書は、学園自体が

一つの大きな戦力を保有している事を示し、

国の有事の際には名門校に所属している

上級冒険者、生徒会のメンバーなどが

出陣することになっている。


叡門学園含めた名門校はこれらの戦力を

活用した自治を行っており、学園内の

治安維持は無論、国の治安維持にも

貢献していた。

彼、矢月宙もその一人だった。


「宙さん、こちらへ。」


ホームルームを終えた後、

茶髪でポニーテール、スーツを着崩して

肩からシャツが出ている格好をした

先生が呼びかける。

彼女の名は鮫島さめじま 優奈ゆうなという。


「はい。」


宙がそう答え、先生の元へ近寄ると、

先生が一枚の紙を手渡してきた。


「お願いします。」


「はい。」


紙には今日の朝に店内を襲撃する

という犯罪を犯した他校の生徒がいるので

罰してほしいと、そう書かれていた。

紙には複数の箇所に犯行場所が

書かれている。


この世界での基本だが、全員は何かしらの

自衛の為の武器を保有している。

現代で言う護身用の銃である。


そしてこの世界は中世の時代である為、

犯罪に対する具体的な法律や、

それを罰する警察もまだまだ少なく、

こうして武器を不法な用途で扱う犯罪が

多発しているのであった。


またこの時期には次世代型武器という、

以前の武器より格段に性能が向上した武器が

普及しつつある現状があるので、

なおさら犯罪が増加していた。

その増加量は通常の1.5倍である。


「早速行きますか。」




――――――――――――――――――――




〘首都「キャピタリアル」大通り〙


「ドォォン!!」


激しい音と共に多くの悲鳴が聞こえる。


『目標地点に到着しました。マスター。』


「よし、行きましょうか。」


宙は先程の音が聞こえた方へ駆け出すと、

翡翠色と白色の銃を虚空から取り出す。

ショットガンに見えるそれを使って、

宙は今しがた煙が消え始めて視認できる

ようになった犯人の一人に向けて

勢いよくバットのように殴った。


「ぶべぇ!!」


店内に思いっ切り飛ばされた犯人の一人は

壁に激突し、そのままのびてしまう。


「ウィンドメアル。」


風の中位魔法を使い、煙を全部晴らすと、

金品を強奪している他校の生徒達がいた。


「なあ…あれ翡翠の悪魔じゃないか……。」

「まずいまずい!早く逃げないと!!」


「逃がすと思っているんですか!」


彼女が持っている銃はポンプアクション式

のショットガンで、彼女は銃の前側にある

ハンドグリップを激しくスライドさせて

連射にほぼ近い速度で弾を撃っていく。

銃の持ち手に近い部分には、

魔力を放出する機構が常に開きっぱなしで

魔力を放出している。

魔力にはかなりの熱量がこもっていた。


『マスター。オーバーキルです。』


「ごめんヴァルハラさん。撃ちすぎた。」


店内には穴が多数空き、犯人の生徒達は

気絶して倒れている。


彼女は犯人達に近づき、犯人達を

まとめて一箇所に置いておき、

犯人達を監視しながら自治組織の隊員を

待つ。


「やりすぎたなぁ。でもやらなきゃ

やられるのはこっち側だしなぁ。」


たまたま形を保っているイスに彼女は座り、

散々たる事態になった店内を見つめる。


やがて来た隊員に犯人を引き渡し、

自体は収束に向かう。


「さて、次の場所に向かいましょう。」




――――――――――――――――――――

一応新章開幕です。

中々このプロローグのネタが

思い付きにくかった……。

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